骨髄採取入院 手術当日 前半

自分でもビックリする位超熟睡して起きた朝。

ご飯も抜きなのですることもなく手術の時間を待つ。


この病院の毎日の手術開始時間は8:30。

それに合わせ病室からストレッチャーで運び出される私。


地下1階手術室入り口は同じ様に朝イチの手術を受ける患者、付き添いの家族、病棟の看護師さんでごった返し。私もその一人。

ここでは手術は特別なものじゃなくて、毎日毎日行われる日常。

健康に生きているって当たり前じゃなくてただ運がいいだけね。


点滴ぶら下げたおじいちゃん

見た目どこも悪くなさそうなおっちゃん

ライナスの様にプリキュアの毛布をギュッと握りしめて前を向いてる女の子。

老若男女様々な人達が…


…みんな歩いてきてる。そして自分の足で手術室に入ってゆく。

手術ってガラガラ運ばれるのがデフォルトじゃないんだ。横たわっているの私だけじゃん。


「私この中で一番健康な自信があるのに、なんか一番重病人みたいですね」

やや恥ずかしくなって看護師さんに話しかける


「ここにいる人はみんな自分に必要だから手術。他人の為なんて一人だけだよ。偉い。」


あ、ありがとうございます。いやそんなつけあがるので程々でお願いします。あと、会話は成り立ってない気がします。

(後から聞いたら手術体勢がうつ伏せの人間はストレッチャーで運ばれる決まりらしい)


名前を呼ばれ、手首のバーコードを確認され、いざ。


自動扉の中はさらにたくさんの手術室に分かれていて、どれもこれも命の現場最前線

ドラマとかで見たことある(月並みな感想)


ガラガラ運ばれ着いたのは最奥の手術室。担当医さんとご挨拶。寝たまま。

その他にも医者が3名のチーム。見学の研修医さんも。

談笑しつつ和やかなムード。


あぁ、そうだ、今までの過程が仰々しすぎて忘れてたけど、実際行われるのは健康優良体から血液採るだけだった。

相当ちゃちゃっって感じでは。お医者さんの朝のウォーミングアップに最適。たぶん。


そんな患者に麻酔が効いてからが本番な、まったりモード執刀医たちと違い

テキパキ動く麻酔科医ギャル女史&手術室付き看護師。

手の甲に点滴針を刺し麻酔薬スタンバイ


酸素マスクを装着。


「血圧◯◯ 脈拍◯◯です。」


なななんか、ゴム臭いようなオエッてなりそうな


「落ち着いて、ゆっくり呼吸してくださいね。」


むむむむむりかもしれない。落ち着け、落ち着け、スーハースーハー


「呼吸数◯◯です」


な、なんとか息できるかもしれないぞ、スーハースーハー


頭上のライトがピカっ!と光るわけでもなく、手術開始です!シャキーン!

て感じでもなく淡々と進む。


「では、これから麻酔入れていきます。すこしひんやりしますからね」


「(はい。)」…先生今日もまつ毛バチバチですn


(暗転)


「終わりましたよ、わかりますか」


終わってる…


声は出しにくいけど、頭はハッキリしてて、問にうなずいて答える

いや、リンクになってガノンに立ち向かおうとしてたからまだ夢うつつかもしれない。


そのまま病室に戻され、ストレッチャーから3人ががりでエイヤッとベッドへ。

男性看護師さんて重要だな。図体デカくてすみません。


手術に関して、痛いことは全く何もありませんでした。

これは嘘偽りなく本当です。

もし、手術痛いの嫌だ…とドナー登録を躊躇している人がいたらそんなことはないと言っておきます。


麻酔が効いた後ひっくり返されボールペンの芯大の針が通る程度おケツを切られ

そこから骨を貫かれて中の骨髄を1回5ccずつ、1200ccに達するまで何回も針が言ったり来たりガスガスと。

一箇所から取れなくなったら切開した侵入箇所は替えず、骨を貫く位置を替えガスガスと。

(それでも取り切れなかったら切開箇所も増えたりするらしいけど私は2箇所ですみました。)


計画量採り終わったら、医師が手でぎゅ〜っと圧迫。

ある程度血がとまったら、絆創膏の親玉のようなものを臀部全体にぺたっ!


…ということが行われた。らしい。所要時間2時間半。体感5秒。


改めて文章にすると超痛そうだなコレ。しかし実際はノーペインでフィニッシュ。

麻酔技術すごい。痛みを感じさせず、かといって殺さずのこの塩梅。


痛くはなかった。ただ…

手術後の絶対安静3時間が長かった。ただただそれだけ。


横になることは許されず、仰向けのまま動かず自重で切られた箇所を圧迫し続ける。

腕には水分補給と痛み止めの点滴

足には肺血栓塞栓症(エコノミー症候群)防止のエアーポンプ。


そして最大の試練はこの病院古さ。いい病院かもしれないけど、圧倒的に設備が古い。

空調がコントロール不可。ただいま暖房一括設定。

暑い暑い暑い暑い…!!!!!


はじめてのナースコール。

どんだけしんどかったらナースコール呼んでいいのかって判断難しい。手間を煩わせたら申し訳ない気分になる。

それが仕事だから押していいんだろうけど、躊躇する。


だ・が・あ・つ・す・ぎ・る!!!


足に巻き付いたものを外して…無理ですかそうですか。

代わりにアイスノン。抱えてやり過ごす。


もしもう一度ドナーになることがあったら、設備の新しい病院がいいって訴えよう。

立地なんてもうどうでもいいわ。一括空調じゃない病院に…!!


安静解除まであと2時間。早く、早く過ぎろ〜〜〜。

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