第2話 色気はいらない

[今日あったネタ話しますよ]


 いやいや待て、藤田くんのくれた写真とネタで私のハートはクラッシュ状態だから……

 改めて藤田くんに語られても凹んで動揺するだけかもしれないし。気分じゃない。


[どーしよーかなー]


 藤田くんとはLIN□つながりで間に合う。それにしても失恋して心寂しい。私の失恋は友だち巻き込むには味気ないほどネタ不足。片恋相手との接点が無さすぎ。こんなんだったら、ちゃんと告白したり迫ったりでもしておけば良かった。


 藤田くんが、そもそものやり取りの本流に戻る。おちゃらけたスタンプを押して。


[宮原さんと金井さんのネタとか]

[分かった]


[早いっすね]

[なんなら、明日の夜でもいい。藤田くん、路線どこ?]


[白沢さんの路線に合わせますって]

[分かった。□○駅南口、六時集合]


[集合って色気ないっすね。了解です]


 そこで、返信をするのをやめてLIN□を閉じた。スタンプを押すのも惜しいほど、ハートが摩滅している。


 色気なんか要らない。どちらかと言うと私は見た目がお盛んに思われがち。素っ気ないぐらいにしておかないと誤解を招きやすい。


「馬鹿馬鹿しい! 何やってんの、私」


 近くにあったクッションを壁に投げつける。チグハグな自分にイライラする。


 それでも、年下の男の子に誘われたんだから気分は悪くない。


 お互いタイプ……じゃないけど、散々LIN□でやり取りして、たまには直接情報交換ぐらいはしても良いかもね。有力情報によっては闇ルールの金一封を山分けしてもいいよね。


 違う部署のお姉さまとも親しくした方が良いわよと、少しはお洒落してこ。


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