第48話 楽しい旅行
――ピンポーン
『はーい!』
「お迎えに上がりました!」
今日から温泉旅行。
俺はウキウキ気分で先輩のアパートを訪れる。
ジュースもおやつも買い込んだ。
荷物も積み込み、準備はオッケー。
「お待たせ!」
「純平、今日はよろしくな。疲れたら早めに言ってくれ」
先輩たちの荷物を積み込み、いざ出発!
目的地まで二時間と少し。俺の腕がなるぜ!
途中何度か小休憩をはさみ、おやつを食べながら移動する。
雅は助手席でナビ役。先輩は後部座席ですでに夢の世界に旅立っている。
「先輩、寝てるね」
「武ちゃん昨日も遅かったの」
「何してるの?」
「課題とゲーム」
「ゲーム?」
「そう、パソコンのオンラインゲームにはまっちゃったみたいでね」
話をきくと、課題をしながらオンラインゲームをしてるらしい。
ネットで繋がった知り合いとパーティーを組んで、冒険に出るゲームだ。
「話だけ聞くと面白そうだね」
「私も一緒にプレイしてるけど、それなりに面白いよ。純平もする?」
「まぁ気が向いたらね」
と、雅の手が伸びてきた。
「はい、これ」
飴玉を一つくれる。
「サンキュー。でっかいな」
「おいしいよ? あ、次のインターで降りたら突き当たり右」
「オッケー!」
ホテルに着く前に何ヶ所か観光地を回る。
牧場、寺、滝、鍾乳洞。
初めて見る物、感じる物、食べる物。
俺は大いに楽しむ。
いやー、旅行っていいですね!
各観光場所で先輩と雅の写真を撮ったり、現地のおいしいものを買い食いしたり。
二人だけの時間も作ってあげようと、こっそりとその場を離れる。
気が使える俺はできる人なのだ。
売店で買ったアイスを食べながら景色を楽しむ。
良い風だ。まるで俺の心を癒してくれる。
「なに黄昏ているの?」
「なんだよ、折角二人っきりにしてやったのに」
「そういう気、使われたくないんですけど」
雅が俺の袖を持ち、引っ張る。
全く、こっちの気も知らないくせに。
でも、そんな所がこいつの良い所でもあり、好きなところでもあるんだよね。
「みつけた。一人でアイス食べてた」
「純平、一人でいなくなるなよ。探したじゃないか」
「すいません、このダブルソフトがおいしそうでつい……」
「いなくなるなら先に言ってくれよ」
「すいません……」
しっかりと先輩に怒られる。
先輩もいい人なんだよね……。
そして、日中の観光も終わり、ホテルへ移動する。
何このすごいホテル。一泊いくらするんですか!
三十階はありそうなホテルで、ロビーも広く高級感あふれる。
しかも川みたいに水が流れているし、橋もある。
中を覗いたら鯉までいるじゃないですか!
これって食べるのかな?
そんなところで萎縮する中、先輩達の後をついて行き、ホテルにチェックイン。
俺は借りてきた猫のように静かになる。
案内された部屋。
広い部屋にでっかいテレビ。そして奥の窓から見える絶景。
「では、ご夕食は二階の『萩の間』にて、十九時からでよろしいでしょうか?」
「はい、それでお願いします。あと、お酒も二本追加で。二人共お酒飲むよね?」
あざーっす。雅さん、気がききますね。
荷物を部屋の端っこに置き、窓の外を眺める。
良い景色だ。素晴らしい。下に見える車も人も小さく見える。
まるで人がアレのようだ!
とあるアニメのセリフが頭をよぎる。
「思ったよりいい部屋だね」
くつろいでいる先輩。何だか大人のような雰囲気だ。
隣でお茶を入れている雅。手馴れていますねー。
「お茶菓子もあるんだね」
手に取ったお菓子は地元の名産。
雅の入れてくれたお茶を飲み、おやつタイム。
「はい、純平。運転お疲れ様」
「ありがとう」
雅からお茶を貰う。
「疲れなかったか?」
「大丈夫です。まだまだ余裕ですね」
豪華なホテルにおいしいおやつ。
そして、夜のご飯はバイキング。
今から楽しみです!
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