第11話 付き合う事になりました


 …………。

ま、まさかあの時の女の子か!

全く思い出せなかった!


「お、もい出した。えっと、その節はどうも……」


「忘れてました? もしかして、今思い出したんですか?」


「はい。おっしゃる通りで」


「純君、意外と記憶力ないですね。私は今でも鮮明に覚えていますよ。あの時は助かりました、ありがとうございます」


 なんだ。

普通にそんな笑顔もできるんじゃないか。

作り笑いじゃない、素の笑顔。


「いえ、どういたしまして。あの後は?」


「友達に会えたので一緒に食べました。その時から純君の事、気になっていたんですよ」


「そ、そうですか……」


 さて、まいった。

俺はどう対応していけばいいのか。


「ガツガツ来る男子は嫌いです。体を見てくる男子も嫌いです。ケチな男も、優しくない男も、私の話を聞いてくれない男も嫌いです」


 わがまま! 何と我儘な!


「そ、そうか……。いい人が見つかるといいな」


 さて、そろそろ帰るか。


「純君、私はあなたの事が気になります。真面目にお付き合いしてもらえないですか?」


「俺、ガツガツ系だし、スケベだし、ケチで優しくない。残念だったな」


「純君ならいいです。私は素の純君が好きになりました。ダメだったら別れてもいいです。ですから、お試しに付き合ってください。お願いします」


 グイグイきますねー。

そんなしおらしくお願いされると断りにくいじゃないですか。


「絶対に無理だと断ったら?」


「卒業まで純君のこと、追いかけます」


 どうしよう、俺の大学生活が脅かされる。

ん? まてよ。


 付き合って、すぐに俺の嫌なところを見せて別れればいいんじゃ?

お、俺天才。きっと、俺の素を見たらあっちから『別れましょ、元の先輩と後輩に。あなたの性癖にはついて行けません!』とかね。

よし、気楽に付き合っちゃうか。


「分かった。そこまで言うなら。ただし――」


「あ、ありがとう! 嬉しい、純君の彼女になれたっ!」


 人の話は最後まで聞きましょう!


「ただし! お互いに嘘はつかない。素で話をする事。お互いの為にな」


「了解! 今夜は寝かせんよ!」


 えっ、ちょっとそれってどういう意味ですか!


「な、何を考えている?」


「私達は恋人同士ですよね? 今夜純君の家にお泊りします!」


 ま、待て待て待て!

展開早すぎませんか!


「えっと、拒否権は?」


「ありません!」


 ケーキを一口食べる優希。

その目は力強く輝いている。


 俺は狙われたカモなのか。

俺の選択は、間違ったのか?






【後書き】

こんにちは 作者の紅狐です。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

本小説は自分に対する挑戦です。


そして、最終的にハッピーエンドで終わります。

それでは、引き続き当作品をよろしくお願いします!


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