第4話 待ち合わせ


――プルルルルルル


 朝から鳴り響く携帯電話。

誰だ俺の眠りを妨げる奴は。


 思い瞼を少しだけ開け、画面を見る。

画面には『桃山優希(ももやまゆき)』の表示。

時間は朝の九時半。


「なんだ?」


『おはようございます! 先輩、今日の予定は?』


 朝から声がでかい。

どうしてそんなにテンションが高いんだ?

若さなのか?


「予定? あー、今日は特にないかな?」


『良かった―! 一緒に買いもの行きません? 一人暮らし初めてなので色々と足りない物があるんです』


 荷物持ちか。

まぁ、引っ越してきてすぐには友達もいないんだろう。

そのうち同じクラスの友達とかに、この役目を変わって貰おう。

しかし、俺も面倒見の良い先輩になったもんだ……。


「分かった、しょうがないから付き合ってやるよ。で、待ち合わせは……」


『駅前に十時で、待ってますね!』


 俺の返事を待たず、電話を切られた。

人の話は最後まで聞きましょう。


 つか、あと三十分しかないじゃないですか。

ダッシュで布団から起き上がり、カーテンを開ける。


 うぉぉぉ、眩しい。体がとけるぅー。

と、心の中で突っ込みをして、顔を洗う。

髪をとかして、適当な服を着る。

ま、デートでもないし適当でいいよね?


 パンツを履き、それに合わせてジャケットを羽織る。

駅まで徒歩十分弱。大学近い、スーパー、コンビニ、駅近い。

しかも居酒屋や床屋、市役所まで近いアパートはある意味最強だ。


 部屋のカギを掛け、いざ出陣。

と、後ろから声をかけられた。


「お出かけか?」


 振り返るとお馴染みの顔。


「あー、後輩の買い物に駆り出された」


「そっか、帰りは?」


「夕方かな?」


「晩ご飯一緒に食べるか?」


「あー、今日はいいや。もしかしたらもっと遅くなるかもしれんし」


「はいはい。じゃぁな」


 こいつは俺のアパートの二階に住んでいる大原雄介(おおはらゆうすけ)。

大原も俺と同じ寮で一年同じ釜の飯を食べた仲間だ。

こいつもそれなりにイケメンで性格もいい奴なんだよね。


 バイクが好きでアパートの駐輪場には、愛車のバイクがいつもいる。

俺も免許はあるから、今度かりて乗ってみたいんだよね。


 おっと、そろそろ急がないと。

駅前に向かって歩き、待ち合わせ場所に到着。

だが、彼女はまだ来ていない。少し早かったかな?


 待ち合わせ時間の十分後、やっと現れた。


「ごめんなさい! 服がなかなか決まらなくて!」


「いや、別にいいよ。さて、どこに行きたいんだ?」


 昨日は随分短いスカートだったけど、今日も同じように短い。

チェックのスカートに白のジャケット。それに合わせたポーチがちょっと可愛い。

明るい所で見ると、かなりの童顔だな。パッと見た感じ高校生にも見えてしまう。

大学一年生は高校生とあまり変わらないから当たり前か……。


「あ、今私の事ジロジロ見ましたね?」


 少しだけしか見てませんよ?

目の前に可愛い子がいたら普通見るじゃないですか。


「いや、その。随分可愛い服装だなって」


「お気に召しましたか? 先輩に可愛いって言われると、嬉しいですよっ」


「まぁ、そうだな。うん、可愛いよ」


「服がですよね? その中身は? 私自身はどうなんでしょうか?」


 微笑みながら俺に話しかけてくる彼女は、それなりに可愛い。


「あー、可愛いと言えばいいのか?」


「はぁ……。もっと、心を込めて言ってほしいんですけどね。さて、早速買い物に行きましょう!」


 無理やり俺の腕に絡み、改札口に連行される。

最近の若い者は随分積極的なんじゃな。


 俺が年代の差なのか。

俺の一つ下なのに、ここまでの差があるのか!

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