第二話

そのことを友人である青山恵莉に相談すると、こんな返答があった。

「夜逃げしちゃえば良いじゃん、そんなの。私だったら彼氏置いてっちゃう、自分ばっか我慢するなんて耐えられないもん」

「でも、修のこと放っておけないし嫌いな訳じゃないのよ。恵莉も知ってるでしょ、本当は凄く優しい人なの」

恵莉は「そりゃ、そうだけど……」と紅茶を一口飲み呟く。

そして言いたかったことを飲み込むかのように、ケーキを一口食べた。ふわふわとした生地が特徴の、シフォンケーキだ。


「ね、わかるでしょ。だからこそ」

突如携帯が振動し始めたことに驚き、言葉を切ってしまった。バイブレーションが、静かな店内に響き渡る。

そのまま放っておく訳にもいかず、携帯を手に取る。メールか何かだと思っていたが、電話だ。


恵莉に「ごめん、電話出てくる」と言い置き店外へ移動し通話を開始する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る