仕事熱心

景文日向

第一話

私の恋人は、とても仕事熱心だ。

毎日の帰宅時間は日付が変わった後になるし、その癖出社は人一倍早い。

最初はそれが彼の会社の通常出社時間なのかと思っていた。


しかし、友人の彼氏で同じ会社に勤務している落合新は

「あの、修さんは私達の中でも出社早い方ですよ。私も朝早い時間から会社には居ますけど、あの人より早く居られたことはありません」

と私の考えを否定した。きっと、仕事が大好きなのだろう。


学生時代から彼と付き合ってきたが、これほど仕事にのめりこむとは思わなかった。

休日出勤も多いし、一緒に出掛けることもなくなった。

そもそも、同居しているのにここ最近は顔を合わせていない。

やり取りも置き手紙やメールなどで、声も聞いていないのだ。

そろそろ結婚も視野に入れていきたいのに、これでは将来の夫婦生活も危うい。

別れを切り出そうにも、そのタイミングすらも無い。

大事なことだから顔を見て話したいのに、それが出来る状況も当然無い。


いい加減、気がおかしくなりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る