第9章 発掘のドラゴン

第53話 遺跡の噂

 ミニアは現在ドラゴンを二頭従える凄腕のテイマーとして認知されていた。

 今日もギルドマスターに呼ばれ何やら話し合っている。

 たどたどしくされた説明では街の防衛についての話らしい。

 俺にはあんまり関係ないな。

 攻めてきたらぶっ飛ばすだけだ。


 ギルドからミニアがザンダリル、リタリー、グバートと連れ立ってギルドから出てきた。

 俺達は四人プラス二頭はカフェに繰り出す。

 カフェの屋外席に四人とピッパは陣取った。

 俺はテーブルになど着けないので道で待機だ。

 椅子に座れるピッパが羨ましい。

 ミニアがバターを塗ったトーストを俺に差し出してくる。

 首を伸ばし、ぺろりと舌でトーストを絡め取った。

 トーストうまうま。

 一口にも満たないがおやつだからこれで良い。

 ピッパもリタリーからトーストを貰っている。

 簡単に餌付けされやがって。


 ピッパの奴、女の子に助けられたから、女性の匂いがするのはみんな良い奴だと思っている。

 後で痛い目みなきゃ良いがな。


「ブライシー騎士団だけど、盗賊を盛んに勧誘しているらしいな。捕虜の証言ではそうなっている」


 ザンダリルが言った。


「ブライシー騎士団。許さない」

「それと生きた魔獣を集めているらしいよ」

「魔獣なんて集めてどうするのかしら」


 とリタリー。


「テイマーの戦力増強だと思っている」

「弱っちい魔獣なんて集めても意味ないだろ」


 グバートが言った。


「数は力ともいうから油断は出来ない」


 取り立てて重要な事柄も出ずに三時のお茶は終わった。

 俺とミニアはタルコットの所に納品に行く事にした。


「こんにちは」

「いらっしゃい」


 タルコットは貸し店舗で俺達を暖かく向かい入れた。

 ミニアとピッパは店に入り、俺は入り口から頭だけ突っ込んだ。

 現在タルコットは店舗を借りて申し訳程度の布と大量の魔道具を販売している。

 魔道具は主戦力の商品となりつつあった。

 聞いた話では紡績商人だという。

 紡績商人どこいった。


「これ。出来た」


 俺はアイテムボックスを開いて、魔道具がぱんぱんに詰まった袋を出した。


「何時もありがとうございます」

「新製品」


 ミニアは背負い鞄から魔道具を出した。


「どのような魔道具ですか」

「筋力強化。魔力コスト30。持続一時間」

「ほうほう、素晴らしいですな」


 魔法のイメージはこうだ。


void main(int argc,char *argv[])

{

 TEL *tpi,*tpo; /*体の定義*/

 int i; /*カウンター*/

 char s[256];

 char power[1500]; /*筋力アップの領域*/

 char name[256]="\0"; /*データを連結する領域*/


 if(argc != 2){ /*対象がないときはエラー*/

  exit(EXIT_FAILURE); /*強制終了*/

 }


 strcat(name,argv[1]); /*外部入力した魔法名を連結*/

 strcat(name,"ルコラシン"); /*.bodyの部分を連結*/


 tpi=topen(name); /*体を開く*/

 tpo=topen("temp"); /*仮体を開く*/


 while(tgets(s,256,tpi)!= NULL){ /*このループでコピー作業*/

  tputs(s,tpo);

 }


 for(i=0;i<sizeof(power);i++){

  power[i]=MUSCLE; /*領域を筋肉に変える*/

 }

 twrite(power,1,sizeof(power),tpo); /*筋力を追加*/

 tclose(tpi); /*閉じる*/

 tclose(tpo); /*閉じる*/

 

 name[0]='\0';

 strcat(name,"ソラセン・メホン・カイモセ・"); /*『copy /-Y temp 』の部分を連結*/

 strcat(name,argv[1]); /*外部入力した魔法名を連結*/

 strcat(name,"ルコラシン"); /*.bodyの部分を連結*/


 system(name); /*体書き換え*/


 time_wait(3600*100); /*効力一時間*/

}


 これの工夫した所は魔法名をイメージすれば発動するところだ。

 呪文は長くなったが、実用に耐えると思っている。


「ドラゴン的。頑張り」

「筋力強化といえば五つぐらい同時に使えるのですか」

「お好みで。調節。一個で。一割五分パワー」

「沢山、売れそうですな」

「なら。量産する」

「ええ、おねがいします」


「ところで、遺跡の噂が流れているのをご存知ですか」

「知らない」

「戦場跡に遺跡があるそうです。しかし、不思議な事に噂の大元の人物が既に死んでいて場所が特定できないのですよ」

「詳しく」

「ある日、飲んだくれの男が呪文屋に魔法を売ったのですよ。その金で豪遊して遺跡を発見したと吹聴して回ったそうです。しかし、翌日には物言わぬ身体になっていました。物取りに残っているお金を狙われたと見ています。現在遺跡の場所が不明なのです」

「ありがと」


 俺達は豆腐ハウスに一度戻った。


「ミニア様、洗濯物はまとめて置いてとあれほど言いましたよね」

「ロラシー、ごめん」


 そういった会話が外まで聞こえてきた。

 タルコットからつけられたロラシーは通いでミニアの面倒をみている。


「まだ話は終わってません」


 ミニアが豆腐ハウスから飛び出るように出てきた。


「遺跡。行く?」


 唐突にミニアが問い掛けてきた。

 遺跡って確か未発見の魔法が眠っているのだよな。


「行くぞ。四秒で支度しな」

「済んでる」

「ギャオ(へい、ボス)」


 俺達は遺跡探索の旅にでるのだった。

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