第4話 リア充を異世界に召喚したとある女神とそこの住人達の末路(天界編)
「オラァッ! キリキリはたらけェッ!!」
元大女神の女神Dは、雑巾で神殿の床を手拭き掃除している元女神だった女神Aこと天使Aに、マシンガン張りの連打で鞭を叩き続けていました。
次々としでがす部下の女神Aの不祥事や違法業務が、自分も含めて隠蔽しきれず、とうとう上司の大女神長に発覚した結果、大女神から女神への降格処分が下され、その腹いせ兼八つ当たり兼ストレス発散として、同様に降格処分された元女神の天使Aに、奴隷よろしくな仕打ちを全力で与えずにいられなくなったからでした。
シンデレラなら冒頭の一ページで過労死や虐待死が確実な過労と虐待に、元大女神の女神Dに対する元女神の天使Aの憎悪は、天井知らずなまでの光速で上がり続けました。
それはその左右で同様の仕打ちを同者から受けている、こちらも元女神だった女神Bこと天使Bや、同女神Cこと天使Cも同様でした。
特に、今まで不正を犯したことのない元女神の天使Cに至っては、不正行為に当たらないはずなのに、女神の仕事に関して、
「昇格の望みは永遠にないと思いなさい」
これが、四人の不正に対して降格処分を言い渡した大女神長が、天界の大神殿に戻り際につけ加えた宣告でした。
そして、それぞれ降格された一人の女神と三人の天使は、天界各所にある、世紀単位で使用されてない神殿の掃除係という、閑職にして雑務でしかない地位と仕事を与えられ、従事させられている次第でした。
『なにもかもがクソだっ!』
救う立場と種族であるはずの元大女神や元女神たちは、救いようのない怨念や憎悪を抱きながら、天界各所の神殿掃除を、不平と不満も過積載して続けていました。
リア充Aが一個小隊ほどの人数を引き連れて天界へ来訪したのは、そんな時でした。
転移術で突如眼前に現れた
三桁にのぼる要求内容を要約すると、現実世界の人類が、天界の女神に代わって異世界を管理するという内容でした。
人生を極限まで狂わされかけたリア充Aからすれば、至極当然でした。現実世界の各主要国家元首たちも、リア充Aが出版した億単位の発行部数を誇るベストセラー――『女神に拉致られたとあるIT企業社長の地獄の異世界生活』と、『それを信じずにバカにした現実世界のブタどもの冷遇』という、どちらもタイトルが長い二冊の回想録を読んだ結果、完全に信じたので、異世界の存在を国際的に公認したあと、リア充Aと同じ被害者の続出を阻止すべく、リア充Aの転移術による案内で、直接天界の大神殿に乗り込んで直談判したのでした。
むろん、これは建前で、本音は各異世界に眠る膨大な原材料資源や
事実、現地で人類と女神が武力衝突しました。幸い、人類に死者は一人もでませんでした。
最近、異世界に派遣した女神が、勇者のように消息や行方が不明になる報告が多くなった原因が、これによって判明した総大女神長は、要求書を残してリア充Aたちが転移術で立ち去ったあと、現実世界の人類抹殺計画を提案しました。搾取の対象でしかない人間の分際で、神である女神に要求するなど、これ以上ないほどの増長でしかありませんでした。幹部の大女神長たちも同じ思いあり、等しく頷き合うと、さっそく議題に挙げました。
「けっ。絶対にこうなると思ってたぜ」
転移術の
天界の各所に、核爆弾の爆光が、失明するほどの光度で閃きました。
それに巻き込まれた九割の女神や天使は瞬時に蒸発し、残りの一割も、それでまき散らされた放射能によって、そのほとんどが、一時間も経たずに死にました。
どうやら人間よりも即効性がある事実が判明しましたが、そんな事実を知っても、それで殺戮された天界の住人たちにとっては、どうでもいい事実でした。
「いいぜ、攻め込んでも」
撤収するリア充Aから許可を得た魔王は、伝声管代わりに使った転移術の
聖なる力で守られていた天界の結界は、自衛隊の核攻撃によって綺麗に消滅し、それに触れるだけで蒸発する恐れがなくなった魔王や悪魔たちは、世紀末のモヒカンさながらな叫び声を上げて天界の蹂躙を開始しました。
一桁の上に放射能に犯された生き残りの女神たちに、五個師団規模の悪魔たちに抗えるわけもなく、次々と
元大女神の女神Dは二桁で。
元女神の天使Bは三桁で。
元女神の天使Aは四桁で。
元女神の天使Cは五桁で。
――こうして、天界は自衛隊と魔王に滅ぼされました。
〈終わり〉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます