第七話

俺は、唯との関係について授業合間の休憩で多くの者に聞かれたものの気付けば昼休みへと時間は過ぎていた。


 教室が騒がしくなり始める中、俺は佑真と会話をしながら昼食を食べようとしていた。


「篠原君、一緒にお昼食べない?」


 弁当を取り出したのと同じタイミングで一人の女子生徒に声をかけられた。


 一城さんは手に弁当を持ちながら告げて来たのだ。

 彼女は今日一日、何度かこちらを見ては視線を反らすということを繰り返していた。

 恐らく、昨日のことがあり気まずかったのと俺が唯の件でクラスメイトに常に囲まれていたというのが理由だと思う。


「あ、はい。いいですよ」


 俺は、彼女から話しかけられたことに動揺してしまい敬語で返してしまう。


「敬語じゃなくていいですよ」


 彼女は言いながら微笑む。


「わ、私も、澪、私も一緒に食べたい」


 唯は焦った様子でこちらへと向かってくる。

 俺は、こちらへと向かってくる彼女へと視線を向けた時、あることに気づいた。


 クラスにいる全ての生徒の視線が俺に向けられていることに。

 隣の席に座る佑真へと視線を向けると彼も苦笑いを浮かべていた。


「澪、てめえーー」


 一人の男子が声をあげる。

 それに続き、多くの生徒がこちらへと駆け寄って来る。


「二人とも、走るぞ」


 俺は、唯と一城さんの手を引き教室から待避すべく動き始める。


「佑真!!」


 一緒に立ち上がったものの動こうとせず、道を塞ぐように立つ佑真へと声をかける。 


「澪、俺のことは構うな、先に行け!!」


 彼は、前を向いたまま、親友キャラの死亡フラグ的なセリフを言い放つ。


「すまない。ありがとう」


 俺は、佑真の言葉にノリながら礼を告げて、二人の手を握りながら教室を後にする。


「何これ?」


 無事、他の生徒達を撒き、屋上に着いた俺達。

 俺達を取り巻く状況に唯は冷静に突っ込み、一城さんは訳が分からないといった表情を浮かべ、


佑真大丈夫かな?


 俺は、見事に死亡フラグを立てた親友の安否を心配していた・・・

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