第六話
俺が、佑真と教室に来たとき、既に教室には多くの男子生徒が登校してきていた。
「うちのクラスってこんなに男子が多かったけ?」
佑真の声に俺はクラスにいる男子を見回す。
確かにうちのクラスの男子はこんなに多くはない。
よく見ると、違うクラスの生徒もいた。
教室に足を踏み入れた瞬間、扉の近くにいた生徒が扉を閉める。
男子生徒の視線が俺に集中していた。
「あ、バレた?」
俺は、思わず呟いてしまっていた。
「バレた?じゃねぇーよ。お前、いつから唯さんと付き合っていた?」
「ど、どこまでしたんだ?キスか?それとも〇〇〇か?」
「どうやって、宮内さんを落としたんだ?」
「なんで、お前なんだよ?俺だって、俺だって・・・・・・」
「篠原澪、貴様だけは許さん」
等々、男子から数多くの声が投げかけられる。
最後から二つ目のやつ、俺そこまで関係なくない?
最後のやつはなんで敵キャラ的なノリなの?
俺は心の中でツッコミながらも、この状況を理解するため頭を回転させる。
「俺は、唯とは付き合ってない」
仕方がなく、事実のみを告げる。
俺が告げた瞬間、教室の奥で俺と同じように女子に囲まれていた唯と目があった。
彼女は俺の言葉を聞き、不満を表すかのようにムス~と頬を膨らませる。
ヤバい、可愛い・・・・・・
だが、俺の言葉を聞いても男子生徒達は止まらなかった。
「ふ、ふざけるな。付き合ってない?朝から手を繋いでラブラブ登校してきていただろうが?」
男子生徒の一人が声をあげる。
「「「「「「そうだ、そうだ!!」」」」」」
全員がその声に賛同する。
ちなみに声をあげたのは佑真だった。
声の震わせ方といい、演劇部に入るか声優を目指したほうが良いのではないかと思う程の演技力だ。
誰も、声の主が佑真だと気づいていない。
あ、あいつ、裏切ったな。
俺は、心の中で呟きながら少し動揺していた。
佑真へと視線を向けると、彼も少し動揺していた。
手を繋いでるとこ見られてないはずなのに
俺は、正直バレていないと思っていた。
告白の場に誰かがいるわけでもなかったのだし・・・・・・
「テ、ツナイデナイヨ」
俺は、あえて片言で呟いた。
我ながら中々の出来だと思う・・・・・・
「証拠ならあるぞ、ほら」
一人の男子の声と伝導するように全員がなにかを写しだしたスマホを取り出し、こちらへと画面を向けてくる。
動きは完全に水戸〇門だ・・・・・・
スマホへと視線を向けると、俺と唯が頬を赤く染めながら手を繋いでいる姿が捉えられていた。
「な・・・・・・」
俺は驚き、佑真へと視線を向ける。
だが、彼は違うと言うように首を横に振る。
「あ、朝、登校途中に宮内さんを見つけたんだけど、学校とは違う方向に向かって行くから追いかけてみたら、密会の現場に・・・・・・」
一人の生徒が恐る恐るといった調子で声をあげる。
「それをスマホで拡散・・・・・・」
もう一人の生徒が呟く。
「チッ!!」
その二人に思わず舌打ちしてしまう。
「お~い、もうチャイム鳴るぞ。自分のクラスに戻れ」
担任の伊藤先生が教室へと入ってきて告げる。
教師の言葉ということもあり、多くの生徒がまだ、物足りないというような表情で教室へと帰っていく。
俺は、伊藤先生へと心の中で感謝を告げながら佑真と会話をしつつ、チャイムかま鳴るのを待った。
「良かったじゃん。人気者だね」
唯は、そっと顔を近づけてきて俺へと呟く。
「誰のせいだよ」
同じクラスの男子生徒の視線が集まる中、俺は呟く。
彼女は舌をペロっと出すと自分の席へと向かって行く。
彼女の後ろ姿を見ながら、これから起こるであろうことを考えてため息を溢していた。
〈あとがき〉
些細なことや辛口のお言葉でも構いません。今後の作品のクオリティ向上の為、評価やコメントをくださると大変嬉しいです。
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