連休最終日

 雨の中に微かに春の匂いがあり、何だか小学生の頃、春休み明けの気分を思い出していた。緊張と不安が草木の匂いと混ざり、体が浮遊しているかのような、そんな心地であった。思えば私の人生は不安ばかり抱えてきた。


 人付き合いの不安、成績の不安、就職の不安、将来の不安、金銭の不安、健康面での不安。私でなくとも、このように推移すると思う。小学生の頃は気楽で良かった、などと市井の人は言うが、そんなことはない。不安の種類が違うだけだ。


 せっかくの休みにこんなことばかり考える。休みの最後の日というのは、何歳になっても気が滅入っていけない。

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