第25話 脇腹

ついにリーダーとの本格的な戦闘が始まってしまいました。基本的にヤリと棒での叩き合いなのですが詰将棋のような面白さを狙って書きました。お互いが無我夢中で叩き合って偶然、勝敗が決まったのでは面白くないのです。主人公はよしおですから主人公を勝たせたいがために強引に運を偏らせるのはダメなのです。


よしおがリーダーのヤリをつかんだせいで、詰将棋が成り立ちました。リーダーとしては前にも後ろにも逃げられなくなってしまったのです。ヤリを手放して逃げれば、よしおの物干しざおが背後から叩きつけられます。頭部を上から打たれれば脳がゆれて失神してしまうのです。リーダーが前に出ればよしおの前蹴りでクリンチできません。リーダーがじっとしていても、よしおのステンレス棒がガンガン横から叩いてくるので手で防御するしかなくなります。重りを入れた棒はリーダーの腕を骨折させて勝敗を決定づけました。


さて、よしおが受けた脇腹の負傷ですがゾンビスーツが破けてリーダーのヤリがかすめています。かすり傷ですがゾンビ汁が入って感染したとも読めます。勘の良い読者諸君ならもうお分かりですね。これはゾンビ化エンドへの布石だったのです。リーダーに勝利したよしおが街を去る時にゾンビ化しつつあるという描写でフィニッシュを予定していたのです。そんな悲しい話があるかよ、せっかくモヒカンに勝利したのに、そんな終わらせ方があるかよ、ゾンビスーツがあるなら無敵じゃないのかよ、著者は甘いものでも食べて落ち着けよ、と怒る読者もおられるでしょうが、私はこの物話をそろそろ終わらせなければならないという意識で書いていました。


リーダーとの決戦終了までをモヒカン編とすると、その後の構想も早い段階からいくつか思いついていました。まずはクルーズ船編です。世界的ゾンビパニックから隔離されているのは大型客船だと思いました。そのクルーズ船によしおが乗り込んでセレブたちに頼まれた特殊な仕事をやっていくうちに・・・という話です。しかしダイプリ号が実際に来てしまってオクラ入りとなりました。

他にも宗教団体編が最後まで有力でした。よしおが宗教団体の共同集落に招かれて生活を共にします。しかし一見平和そうに見える集落で起こっていることは・・・という話です。むろんこの集落はゾンビから隔離されていて安全です。その中ではゾンビスーツを着る必要がなくなりますので、タイトルに矛盾してしまいます。さらに海外の宗教団体でクラスターが発生したというニュースでオクラ入りになってしまったのです。

続編のアイディアが次々とオクラ入りになるという異常事態に、ちょっと考えさせられました。現実のスピードに追い付けない、というのもあります。ダイプリがあったからクルーズ船編を書いたんでしょ?いやね~、不謹慎ね~、と思われるのも癪に障るのです。


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