第23話 金網
「ゾンビ作品に金網フェンスは合いますね。」ということは執筆開始時から考えていました。どこかで金網がからむエピソードを一本は書いた方が良いと思っておりました。某海外ゾンビドラマでも金網によってゾンビの侵入を防いで、フェンスに張り付いたゾンビの頭を簡単に刺すシーンが見られます。金網のひし形の穴は絶対に人間やゾンビが通ることはできないのにヤリやナイフは通るのです。さらに人間なら金網をよじ登って超えられるのに対して段差を上がれないゾンビは金網を登れません。まさに最適なバリケードが金網フェンスなのです。ただ多数のゾンビ衆がつめかけると重みで金網フェンスは倒されてしまいます。
よしおとリーダーの決闘前は色々と話さなければならないことがあって忙しくなりました。まず情報を共有します。これからどちらかが死ぬので情報を持っていても無駄にならないように共有しておきます。さらに決闘後の約束です。勝った方、負けた方はコレを守るなど詳細を決めておくのです。リーダーとよしおは果たし状と返事のメモでしかコミュニケーションしていなかったので約束の詳細をつめておかなければならないのです。決闘後は片方が全くしゃべれなくなり冷たくなってしまうのですから。
さて金網ですが、この決闘の場所の遊水池はパニック直後のスクリーニングに使われていました。感染者と未感染者を検査で分けるために屋外の広い場所が選ばれたのです。そこには簡易的に金網フェンスが張られてゾーンが分けられました。その金網を利用して決闘にふさわしい安全地帯が作られました。もし何かトラップの気配がすれば双方はすぐに引くことができます。リーダーは仲間の運転する車に合図を出して、すぐに迎いにこさせます。よしおは段差を降りてゾンビの群れの中にまぎれて逃げるのです。お互いに信用ならない敵との決闘ですから、このぐらいは考えられています。
リーダーがタバコをすすめるシーンですが、最初の構想はジッポを金網の穴から渡すというものでした。リーダーはジッポを集めているのでお気に入りのライターを、よしおに渡すという良いシーンだと思っていました。しかしよくよく考えると、よしおの手はゾンビスーツの手の中にあるのです。ちょうど皮のグローブをハメているようにゴワゴワしています。よしおがヤリを扱うには充分ですがジッポに火を付けるとなると大変です。つまり、決闘前にカッコよくタバコに火を付けたいのにゴワゴワしてしまいます。それならば、ということで徹夜で滝に打たれて座禅を組んでお百度参りをして考えたついたのがタバコの先端どうしを付けて火を移すシーンです。このシーンではリーダーとよしおが金網越しに正面で接近することになります。つまりナイフでもヤリでも金網の穴から相手に刺すことが可能な距離です。しかしお互いに攻撃はしない。このタバコを吸っている間はタイム(タンマ)だぞ、吸い終わったら決闘でどちらかが死ぬんだぞ、という暗黙の了解があるのです。
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