第22話 決闘場

主人公「よしお」の名前について少し。執筆開始時は「よしお」という名前は、なかなか使い勝手が良いと考えていました。読みやすく普通で何か特別なイメージがないニュートラルなネーミングです。しかし文章中で使っていくうちに、意外に読みにくい名前だと判明しました。例えば「ゾンビを倒したよしおはよせば良いのに」といった文章では「よしお」の名前の区切りが見えにくく一見して名前を判別しにくいのです。もちろん主人公は自分自身のことを「俺」と呼ぶので「ゾンビを倒した俺はよせば良いのに」となり読みやすくなります。


しかしモヒカンリーダー編ではリーダーが「よしお」のことを名前で特定しているわけで、やはりリーダーの文章中に「よしお」が埋没してしまって読みにくくなります。これが漢字の「良夫」なら「ゾンビを倒した良夫はよせば良いのに」と読みやすく、カタカナでも「ゾンビを倒したヨシヲはよせば良いのに」少しその効果が見られます。じゃあ今さら主人公の名前を漢字やカタカナに変えようかとも思いましたが作品タイトルが「ゾンビスーツ・よしお」ですから今更かえられません。


モヒカンが「よしお」のことを呼ぶときに顕著に表れるこの埋没現象ですから私も工夫をしてまいりました。善処してまいりました。たとえば「敵」「相手」「ヤツ」「スーツァー」「狂人」「男」「皮おじさん」「レザーおじさん」「本年度ベスト・レザーニスト」「焼きナッツ臭おじさん」「ナッツ&レザー」「皮系ポケモン」「モヒカンキラー」「ゾンビの中のひと」「着ぐるみ職人」「DIYゾンビ男」「皮った人」「嗅覚ゼロニキ」「皮ラー」「ゾン国無双」「酷死無双」「死ナフキン」「悪魔の革皮モンスター」「スメル街の悪魔」「殺人者」「不審者」「異常者」などと「よしお」を言い換えれば良いのです。


この22話は説明が多いので、解説もそのままなのですが要は皮おじさんが慎重に場所などを選んできたということです。焼きナッツ臭おじさんも馬鹿ではないのでモヒカン族に恨みを買っていることを知っています。そこで皮系ポケモンは自分に有利な場所や時間帯を選んで果たし状の返事をよこしました。屋外の広場でトラップが仕掛けにくい場所、退避場所としてゾンビの群衆がいる場所、決闘の邪魔にならないように段差があってゾンビが音で集まりにくい遊水池が死ナフキンに選ばれました。ダラダラとコメンタリーを欠いていると、ひときわ強い焼きナッツ臭が決闘場を包んできたようですよ。

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