第21話 映像

設定では果たし状は市内の3~4か所に置いておく感じでした。必ず通る交差点の複数に置けば数日以内に敵はそれを読むのです。モヒカンリーダーは交差点に監視カメラよろしくスマホを仕掛けていました。敵が果たし状を読む場面を録画して分析するためです。敵が何人なのか、どんな武器を使っているのかなど情報を取るためにスマホのバッテリーをふんだんに使いました。このあたりにリーダーの頭の良さが現れていると思いました。思いました、というのは執筆後に読んで改めて感じたことです。書いている最中には手が勝手に動いてスマホをセットしてしまいました。当然、カンの鋭いリーダーならそれぐらいはやっておくと思われるので、私はそのままGOサインを出したのです。スマホ監視カメラの良いのは融通が利くことです。後からシナリオ上、どうしてもスマホ監視映像が邪魔になればバッテリー切れや故障など、いくらでも変更できます。映像を自由自在にストーリーで使用できるのですから、たまらないのです。

一方、ゾンビスーツを着た「よしお」も果たし状の返事をすぐに書きました。その際に必要なのが日時と場所の特定です。このころになると正確な曜日や時間の把握が難しくなっているとも考えられます。電波時計や狂いの少ない腕時計などで曜日や日付まで分かるはずですが、やはり不安です。間違いのないように、よしおは天候で特定しました。久しぶりに雨が降った日の翌日が返事が置かれた日です。そして、その翌日が決闘の日となるわけです。天候なら市内にいれば共通なので間違うことがないということです。

やはり映像は情報の宝庫でした。百聞は一見にしか何ちゃらと言います。段差を上がる敵の姿を見て、ゾンビではないとモヒカン連中は見抜きました。ゾンビ皮を着ることは理論的には可能なのですが強烈なナッツ臭が鼻をつき失神してしまうのです。たしかに忌むべきゾンビは元々人間の遺体で、その皮を解体しているのですから麻雀で言えば役満クラスの異臭です。常に役満をテンパイしている主人公の異常性がご理解いただけたと思います。

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