第18話 返事

今回はゾンビ化した仲間にとどめを刺すという苦しい展開になってしまっています。血の気の引いたナオユキが歩いているのを発見したリーダーは車を降り接近して彼に声をかけました。ゾンビは会話が出来ないのですから声をかけて返事がなければゾンビ確定となります。これは人間かゾンビかを見分ける重要な方法です。ただ薬物中毒や病気などで声が出なくなっている場合も考えられます。しかし一晩もゾンビカーの外にいて噛まれていないのは不自然すぎるのです。ここでナオユキにとどめを刺さずにハグでもすればガブリとされることは火を見るより明らかです。


今回のリーダーのポエムですが、読み返してみると、あまりポエティックになっていない気もしました。車内の不快な状況を描写しただけで詩的な印象は薄いのです。ただ自分がとどめを刺した仲間の遺体が後部座席にあるというのは、ひどく悲劇的な状況です。ゾンビ化していて仕方がなかった、とはいえ前日まで一緒に飯を食べていたモヒカン族の仲間だったのです。そのナオユキがゾンビ化していたということはリーダーとしてはショックだと考えられます。大きなショックのためポエムにする余裕がなく冬の乾いた光の状況を淡々と描写するだけになっているとも解釈できそうです。


モヒカン編を作った理由のひとつは仲間がゾンビ化する悲しみを書くためです。ゾンビスーツよしおには仲間がおらず不可能でした。そういう意味では、よしおは気楽です。


あと1つだけ。次回からモヒカン編のもうひとつの目的であるミステリが始まりますよ。楽しみです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る