第16話 リーダー

今回から急に一人称視点がモヒカンリーダーに変わっているわけです。この手法は特段に目新しい事でもないので大丈夫なのですが読み手にとって分かりにくいとも思えられます。主人公がよしお、よしお、よしお、ときて急にリーダー! それもモヒカンの!となるわけですから読者の混乱は想像できます。そこで明確に別人に視点が変わっていることを示す必要があります。それが「理良堕亜リーダー」という当て字だったわけです。冒頭から理良堕亜という当て字を使って自己紹介することによりヤンキー的な匂いをプンプンさせて、よしおとは別人であることを補強しました。


モヒカン族の話を展開させたのは、よしおを休ませるためでもあります。ここまで主人公はゾンビスーツを作ってハイスピードで走りつづけています。このまま走り続けては壊れてしまうと私は不安に思いました。想像上のキャラクターなので壊れても物語が未完でもオヤツを食べても誰に迷惑をかけるわけではないのですが、実験的な意味もあります。一度、走り出したキャラクターを強引に停止させて再び動かすとどうなるのかという興味があったのです。一度止めて再開するとキャラの動きが悪くなっていれば、それはやはり止めないほうが良かった、ということになります。再開してもすぐさまギュンギュンに走り出せば、やはりこの主人公よしおは本物のキャラクターだったことになるのです。

ええ。

モノホンなのです。

再び走り出すことができれば。


よしおが切れ目のない長文独白をするならリーダーは自作の歌詞で内心を吐露しています。これはリーダーの心の中のポエムですから本来は誰にも見せない弱気や悲しさを詠ったパートになっています。執筆中に私はリーダーも長文独白でいくかと少し悩みましたが、先ほどの一人称視点の変更が懸念となりました。やはり明白に視点が別人に移ったことをアピールしなければならないのです。よしおと同様にリーダーも長文独白では、もしかしてリーダーって、よしおの別人格かしら、もしかしするとよしおの別の世界線の話かしら、ひょっとするとよしおの5年後の話かしら、など余計な疑念を読者に与えてしまいます。それを否定するためにあえて長文独白は禁止にしてリーダー特有のポエムで仕上げてみました。




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