第2話 隣のゾンビ
1話で急にゾンビスーツを作ってしまったので、その理由を書かなければならないのがこの2話です。主人公のよしおがどう考えてハイリスクなゾンビ狩りを決行したのか強い理由が必要になります。その理由が「ゾンビはゾンビを襲わない」という習性でした。もしゾンビを騙せれば襲われずに安全に歩くことができるのです。ゾンビは何らかの方法で人間を見分けて襲ってきます。そして仲間ゾンビを襲わないように気をつけているのです。この原理は絶対に読者に理解して欲しかったので繰り返し、しつこいぐらいに書くように気を付けた記憶があります。
よしおの独特な長文部分は各話にありますが最初は偶然に出来上がったものでした。パニックや強い感情を持った主人公よしおの内心を想像して、忘れないようにとにかく雑記メモのように書いてみました。細かい改行や誤字、文法ミスなどは後から直せるのです。書いてみると長文というか切れ目のないヘンテコな1文が出来上がり、「おや、読んでみると、これはこれで面白い。感情や思考が渋滞していることが表現されているのでは。」と思いました。もちろん読みやすさの点からは問題ありますが、短めにおさめれば大丈夫だろう楽しいだろうという「だろう運転」です。
ゾンビ臭が焼きナッツ臭であるという設定は書き始めてから加えました。ゾンビスーツでゾンビ臭を漂わせて人間臭を消すというのは決まりなのですが、それはつまり死臭や腐敗臭であることを想像させます。ゾンビと書けばその背後から死や腐敗が醜い顔を出してしまうのです。それでは私も書いていて気分が悪いですし読んでいる読者も気分が悪いと思いました。その当時の私はポップコーンを安く買いたくて色々と検索をしていました。そしてついにコーヒー屋にもお菓子の一つとしてポップコーンを売っていることを発見しました。その結果、ゾンビ臭は焼きナッツの匂いとなりました。今思えばコーヒー臭やポップコーン臭という設定も考えられるのですが、なぜか焼きナッツ臭となり、それは強固に動きませんでした。もしゾンビ臭をコーヒーやポップコーンの匂いにしていたら厳しい読者からは、「ふざけている」と思われることは確実です。
2話冒頭のゾンビに噛まれた人間が一時間で立ち上がるというのは重大な設定事項となります。感染の潜伏期間や感染者が死後何時間でゾンビ化するかという数値が決定してしまうのです。今後もその設定に縛られることになるので慎重に考えるべきでした。しかし執筆時は「潜伏期間とか決めるの難しいから個人差があることにしよ。」とポップコーンをつまみながら気楽にかまえていました。生存者との遭遇、つまりどのような人物が生き残っているのかについては次回にて。
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