コメンタリーオブ「ゾンビスーツ・よしお」

おてて

第1話 ゾンビスーツ

この文章は前作「ゾンビスーツ・よしお」の執筆中に考えた事を、とりとめもなく思いだして書くものです。「ゾンビスーツ・よしお」を読んでいないと全く意味が分からない文章です。ネタバレも大量にありますのでまず前作を最後まで読んだ後、各話と並行して読まれることをおススメします。


ゾンビスーツのアイディアは数年前にさかのぼります。私が海外ドラマ「ウォーキングデッド」を見ていた時です。ドラマの中で主人公リックたちがゾンビに囲まれてピンチに陥りました。そこで彼らがゾンビの内臓や汁を自らの体に塗り付けて(グロ)ゾンビの群れの中を突破したシーンがありました。それを観ていた私は「常に塗っておけば最強なのに!」とツッコミを入れていました。しかしゾンビの内臓や汁をコパトーンのように常に塗りたくっているのはドラマの主人公としていかがなものだし、やはり精神的ストレスが過大なのだろうと想像しています。そして、もし私が「塗れ!汁を塗れ!」とリックに伝えることが出来ても日本語ですので通じない可能性が高いのです。


その後、私が考えたのはゾンビ汁自動供給機です。例えば頭の上にバケツや袋のような液体の入る物をセットします。そこからポタポタと赤いゾンビ汁が頭にしたたる供給機を装備すれば常にゾンビ臭を得ることができます。するとゾンビの群れの中を安全に駆け回ることが可能になるはずです。いわばアウトドアの手作りシャワーの発想をゾンビ世界に導入したわけです。ただこれは見た目もどうかしていますし、機能的にも数時間で汁切れを起こしてしまいます。さらにアクシデント的にコケると終わりです。だったら汁たっぷりのゾンビ皮を着れば良いじゃないか、というわけです。


ゾンビスーツでゾンビ世界を自在に動き回るというアイディアは数年前に出来ていましたが、作品にするにはグロすぎてお上品な私の作風ではないし、寝る前に妄想するにしてもグロすぎて目がパッチリしてしまうし、ゾンビスーツのグロさに自らが恐怖したわけで、しばらく放置していました。しかし連載開始一か月前から「今書かねばならない。」というゾワゾワ感が増してしまいました。どうせなら年明けのお正月から新しい気分でオトソ気分でゾンビも悪くないはずですが、当時はなるべく早く始めなければならないという意識が強かったのです。


時系列通りならゾンビが世に出始めたシーンからスタートですが、それではインパクトに欠けると思い書きなおしました。色々試行錯誤するとゾンビ捕獲解体シーンから始めるのが最も良いと感じました。今考えると、よしおがゾンビの群れの中をなぜか襲われずに歩いているシーンから始めるのもアリだと思えます。そして理由はゾンビスーツを着ているからという一話ラストのオチです。しかしタイトルで「ゾンビスーツ」とある以上、察しの良い読者には予想済みで種明かしの爽快さは無いと思われます。じゃあタイトルを変えるかとも考えましたが気に入ってるので一話冒頭をこのようにしました。よしおの長文独白部分については次回以降のコメンタリーにて。


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