生配信15 絵茶さんと話し合い

 夜配信のあと、突発コラボについて、絵茶さんとDMで話し合った。


 話し合ったと言っても、「急にコラボを頼んで~」「いえいえ、別に~」「じゃあ、明日連絡するので~」「分かりました。朝の~」みたいな軽い感じでだが。


 そして、今。朝7時ジャスト。


 寝たのが2時ぐらいなので、睡眠時間は約5時間。もっと寝ていたい気分なのだが、昨日絵茶さんに「7時くらいに電話する」と伝えたため、PCの通話アプリを起動させ、コンタクトを取る。


 さて、絵茶さんに連絡っと。

 

 起きていたら出られるが、彼女は果たして!


「もしもし、滝さん! 絵茶です!」


 起きていましたね。


「あっ、もしもし。おはようございます」


「おはようございます!」


 朝の挨拶をすると、元気な声で返ってくる。


 元気が良い絵茶さんに、まず、俺は謝っとかないと。


「昨日は配信中にコラボお誘いしてすみません」


 昨日、俺は配信しているにも関わらず、絵茶さんにコラボのお誘いをした。


 コラボのお誘いをする時は、基本DMなどで相手の予定を確認し、コラボができる日があるかどうか聞く。そして、空いている日があったら、コラボのお誘いをする。


 その方が失礼にならないし、もし仮に予定があった際、断りやすい。


 なのに、俺はDMで連絡するのが面倒くさく、配信上でお誘いしてしまった。


 配信上では、リスナーさん達が見ている手前、断りづらい。


 ましてや、絵茶さんとは最近仲良くなった配信者さん。ちゃんと手順を踏んで、コラボのお誘いをするべきだったと、少し後悔している。


 そんな後悔中の俺に、絵茶さんは、


「いえいえ、別に。そもそも、私、コラボ相手とか少なくて、お誘いしてくれるのいつもサキちゃんだけだったので、嬉しいぐらいです!」


 感謝を述べてくる。


 めちゃめちゃ、良い子じゃん。やばい、涙出てきそう。


 もう、今度からドンドンコラボのお誘いしよう。


「じゃあ、コラボお誘いドンドンしますね」


「あっ、じゃあ、Twitterブロックしときますね」


 ………ん?


「………ん? 聞き間違いかな? ブロックって」


 最近、エーペックスを大音量でやってるから、耳がおかしくなったのかな?


「あっ、間違えました」


 間違った。あっ、どうやら絵茶さんの間違、


「ブロックして、通報もしときます」


 間違いじゃないね。耳もおかしくないね。今、はっきり言ったね。


「えっ? あっ、あれ? そう言う流れでした、今? おかしいな、ここは「ホントですか⁉︎ ありがとうございます」とか言われる所だと思ったんですけど」


「ふっ、自分の感覚で話してもダメですよ? もう滝さんは、お馬鹿なんだから」


 あああ、なるほど。確かに自分にとっては普通でも、相手にとっては異常かもしれないって事ありますもんね。


「あっ、そうですよね。ははははははは、じゃあ、俺もブロックしときますわ」


 もちろん、俺も絵茶さんも冗談である。


 話の流れを読め、と言う俺に対して、はははは、っと笑う絵茶さん。


 俺が謝ったことにより重々しかった空気は、絵茶さんの冗談により一転し、笑える空気感へと変わっていく。


「じゃあ、冗談はここまでにしておいて、コラボの話をしましょう」


「そうですね。それがメインですし!」


 さて、ここからが本題。


 まずは、確認から。


「今日、本当に昼と夜の配信両方とも良いんですか?」


 言い出したのは絵茶さんだが、本当に良いのだろうか? 


 昼と夜の時間、計6時間くらい俺に付き合わせちゃう感じなのだが。


「別に良いですよ。だって、今日、私もDbDの配信するつもりでしたもん」


「でも、13時から16時、23時から26時までですよ?」


「はい、やりましょうよ。それとも………嫌なんですか?」


 おっと、確認しすぎたらしい。


「いやいや、なんか長時間教えてもらうの申し訳ないなって思って」


 これは俺の本音だ。俺に付き合わせて配信してもらうのは、とっても申し訳ないように思えてしまう。


「大丈夫ですって! 私、DbDめっちゃ好きなんで、24時間くらい余裕でやりますから」


 1日中出来るのか、あのゲームを。


 まあ、絵茶さんが苦痛ではないと言うなら、それで良い。もう何も言うまい。


「分かりました。じゃあ、今日の13時からと、23時からの配信、よろしくお願いします」


「はい、頑張りましょう!」


 あとは、少し打ち合わせして終わりかな? 


 打ち合わせの内容は、俺が望む希望と絵茶さんが望む希望を言って、どうやって近づけていくか、どうやって達成するか、その道筋を立てていく——というものになる。


「じゃあ、少し打ち合わ「ところで、ご飯いつ行くんですか?」せ………え?」


 言葉が被ってて全然聞こえてなかった。


「今なんと?」


「だから、ダメージ勝負のご飯と旅行、いつ行くんですか?」


 ああそれね。今月中に行くってことしか決めてなかった。


「………」


 何も決めていないので、無言のままでいると、


「えっ、まさか行かない気ですか⁉︎ 約束を反故にするんですか⁉︎」


 若干、言葉に圧が感じるんだが。


「………いやいや、反故になんかしないよ。まだ全然決めてなくて、何も言えなかっただけ」


「ええ、楽しみにしてるんですから、早く決めてくださいよ⁉︎ 牛タンにカルビ、ハラミに豚トロ。レバーは要らないけど、ロースにミノ、ホルモン! はあ、早く行きたいなぁ。焼肉屋で食べるビビンバとかキムチとかも美味いんだよなぁ」


 やめて、やめて! まだ朝ごはん食べてないんだから、肉の部位の種類とか言うのやめて!


「分かった、分かったから! 今週中に焼肉は食べに行こう。ってか、今週は大丈夫?」


「全然行けます! じゃあ、今週中でいいんですね⁉︎」


「う、うん。今週中に予約しときますから、お店」


「よしゃあああああああ! サキちゃんに連絡しよう!」


 この後、この通話アプリに、サキサキさんこと佐々木さんが参加し、焼肉の話題で盛り上がる。


 もちろん、盛り上がっているのは佐々木さんと絵茶さんで、俺はというと、


「どこの店が良いんだろう? ゼロスさんとワンスさんは予定が空いてるって言ってたし、聡太さんは………聞かなくても大丈夫」


 黙々とお店の検索をし、ほかのメンバーの今週の予定を確認している。


 打ち合わせだけのつもりが、食事会の準備までさせられるとは思ってもみなかった。


「滝くん」

「滝さん」


「「ごちになります!!!!」」


 うっさいわ!


 




 



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