生配信1 格ゲー4連敗
「どうも。今日もゲーム配信! 配信者はお馴染みTakiチャンネルの滝です」
お決まりの自己紹介で配信を始める。
現在の配信視聴者数は128人と100人超えているため、出だしは良い。まあ、出だしが良かろうが悪かろうが、いつも通り配信をするだけなのだが。
「ええ、まいみさん、リョウタさん、翔太さん、こんばんは」
コメントを一番上から読み上げていく。全ては流石に読めないので、上から10人程度。
コメントを読まない配信者もいるが、俺は読んでいくようにしている。
15人分の視聴者の名前を呼び終え、今日のゲームについて紹介していく。
「はい、皆さんコメントありがとうございます。では、今日やるゲームを紹介をしていこうと思います。動画タイトル通り、今日は格ゲーをやっていきまーす」
動画のタイトルは『格ゲー3時間。技を決めて、決めまくれ』と、格ゲーやる気満々のタイトル。
俺自身、格ゲーをやる気満々。
コメントを目で追っていると、『どの格ゲー?』『鉄拳、ストファイ?』『いやいや、DOAでしょ』と流れてくる。
格ゲー、略さず言うと対戦型格闘ゲーム。ファミコン時代からあるジャンルだ。
有名なのは、カプコンの『ストリートファイター』シリーズやバンダイの『鉄拳』シリーズだろう。
コメントに出てきた『DOA』---『DEAD OR ALIVE』はコーエーテクモが開発した格ゲー。シリーズ化しており、人気のある格ゲーだ。
この3作品の中、というか3作品全てやっても良いが、今日は予定通りに配信しようと思うので、
「ええ、リスナーさん達がコメント欄でいろいろと予想されていますが、その3作品ではなく、違う作品をやろうと思ってます。任天堂が開発した格ゲーと言えば?」
『まさか』
『きたあああああああ』
『そう言えば、あれも格ゲーか』
『↑あれ言うなw』
任天堂が出した格ゲー。俺の知っている中では、この作品しかない。
コメント欄でも作品名がずらっと並んでいる。勿体ぶらずに俺は言う。
「そうです、『スマブラ』をやって行こうかと思います!」
そうリスナーさん達に告げ、スマブラ---『大乱闘スマッシュブラザーズ』のタイトル画面を出す。これでリスんーさん達の方にも写り出されているだろう。
「皆さんの画面にもスマブラのタイトル画面出てますか?」
一応確認。怖いから。
『出てる』
『大丈夫、心配するな』
『昨日の配信でも心配してた。優しい』
『滝さんは優男だから、当たり前よw』
ちゃんと出来ていて安心。
「画面は良し。じゃあ音の方は大丈夫? うるさいなら音下げるけど」
音量の設定はしてある。ある一定の音量を越そうとすると、自動的に音量を下げて、一定の音量を超えないようにするソフトを使っている。
使っている理由? それは俺が叫ぶ実況者だから。ホラーやFPS、それに格ゲー。やられたりすると、無意識にさけんじゃうから使っている。
じゃあ、叫ばなければ良いのでは? 無理だな、うん。だって無意識に叫んじゃうんだもん。
まあ、設定云々は放っておいて、コメント欄で『大丈夫』の文字が多く流れているので
「じゃあ、スマブラ始めていきまーす!」
ゲーム配信を始めていく。
「まずは少し練習させてください。というのも、最近スマブラやってなくて、最後にやったのが1ヶ月前ぐらい、確か。その時は配信とかじゃなくて、プライベートで通信対決して、まあ、その時も3ヶ月半くらいのブランクがあって最初の方はボコボコにされた」
あの時のスマブラは屈辱的だった。通信対戦でかなり負けて、通信やめて、1人で2時間ぐらい#CP__コンピューター__#相手に練習。練習のおかげで、コンボとか復帰の技術が上がった。
『どれくらい練習するの』
『おけ』
『おけ』
『おけ』
『何使うのか気になる』
『キャラ何?』
『ボコボコw』
「最終的には良い感じの対戦できたから、そんな雑魚ってほどでもないと思う。それで練習時間は、30分くらい欲しいかな。そのあとはリスナーさん達と対戦したいんで、参加しても良いよという方は、11時40分ぐらいにルームを作りますので、ルームIDを入力して入ってきてください」
『おけ』
『おけ』
『おけ』
『おけ』
『おけ』の2文字がコメント欄を埋め尽くす。視聴者数は少しずつ増えていき、今は300人ちょい。このまま伸びて欲しい。
「じゃあ、練習しまーす。キャラについて聞いてくるコメントがなかなか多かったんで、言っちゃいます。隠すことないし」
スマブラの『大乱闘』を押して、ルールはあらかじめ作っておいたモノをもう一度押し、場所はランダム。そしてキャラクター選択に進む。
「いつも使っているキャラはクッパ。たまにクラウドってな感じ」
白い手のカーソルを動かし、クッパを選択。CPは何でも良いのでランダムにし、強さはレベルMAXにする。
画面を横切る『ready-to-start』にカーソルを合わせ、Aボタンを押す。
今から練習をスタートする。
ーーー
ーー
ー
「いや、クッパの横B好きなんですよね、個人的に。あの掴みからの空中ボディプレス」
練習を始めて25分。そろそろ勘を取り戻したと思うので、対戦をやって行こうと思う。
『クッパの道連れ攻撃』
『あれは道連れではない。ただの自殺』
『やられても復帰しようと思えばできる』
『横Bのループ』
「道連れやったな~。ループもCP相手にやったわ」
『やったんかw』
『草』
『草』
「あとは横Aのスライディングも好き」
練習中、リスナーさん達とクッパ談義で盛り上がっていた。『クッパ一生独身説』や『実はマリオ好き説』とかで。今は『クッパの技何好き』で盛り上がっている。
「あのスライディング、距離長いから強いと思うんだよね。……ふぅ、じゃあそろそろ40分になるのでルームを作っていきたいと思います」
『待ってた』
『早よ早よ』
『はーい』
CPとの練習を切り上げ、ルーム作りに入る。
手を動かしながら、対戦のルールについて説明をしていく。
「ええ、これからルームとルールの説明をしていきます。まずはルームから」
1つ、ルームには制限人数を設けます。入れなかった場合はすみません。制限人数は4人。
2つ、1人1戦ずつ。終わり次第、ルームから抜けること。後の人のことを考えてくれるとありがたいです。
3つ、配信中、全ての人と対戦することはできません。時間上の都合で。ご理解ください。
と、まあ、こんな感じでルームの説明を終わらす。
次にルールの説明。
残機は2ずつで、アイテムはなし。場所は戦場のみのランダム。制限時間は2分。
ルームとルールの説明を終え、最後に確認。
「多くの人と対戦していきたいので、よろしくお願いします」
『おけ』
『おけ』
『おけ』
「じゃあ、ルームのIDを公開しまーす」
公開後、リスナーによるルーム入り争奪戦が始まる。争奪戦を勝ち抜いた4人に対戦権が渡される。そして、勝ち抜いた4人がルームへと入ってきた。
チョビ丸、りんりん、4545さん、吾輩。この4人が俺の対戦相手。
「じゃあ、順番は入ってきた順でチョビ丸さん、りんりんさん」
次の人は正直になんて呼べばいいのか分からない。そう言う時は、リスナーに聞けばなんとかなる。が、めんどいので。
「4545《シコシコ》さん、吾輩さんでやっていきましょう」
『草』『草』『草』『草』『草』『草』『草』『草』
『そのまま言ったw』
「え、これ読み方違った? いや、ネタでやってるのかと思ったから、そのまま読んだんだけど」
『あってると思うw』
『ネタw』
『草』
「4545さん、そんなんで俺が動揺するとか思ったら大間違いだから! 言ってたるよ、シコシコなんて何度も言ってやるよ!」
どちらかと言うと下ネタは大好物な方なので、気にしない。どんどん言っちゃう。
でも、やりすぎはいけないので、そのラインは超えないように気をつけてはいる。
「じゃあ、やっていきましょう!」
1戦目
「食らいやがれ、オラ! まだまだ終わらねーぞ!」
2戦目
「あ、掴まないで! ちょ、マジで痛い。痛い痛い痛い」
3戦目
「どうした、シコシコ! ピンク色のキャラクター使いやがって。いやらしいやつだな。炎でも食らえ」
4戦目
「あ、そのコンボエゲツない。あ、1機死んだ」
あっという間に初めの4人が終わり、次の4人が入ってくる。そしてその4人も終わり、次々試合をして現在、
「48人が終わりました!」
2時間30分かけて48人と戦った。勝率は、7対3で俺の方が勝っている。
めちゃくちゃ嬉しい‼︎
この調子であと何回か勝って、気持ちよく終わりにしよう。
そう意気込んだのは良いが、次の対戦から俺は悪夢を見る羽目になる。
「じゃあ、次の人入ってきてください!」
アイコンがキノコ、ドンキー、ソニック、ミズガメ。ちなみに俺はクッパなのだが、どのアイコンもクッパほどの迫力がない。
クッパ、カッコいい!
「ええっと、順番はそうたさん、ホーホさんにカタツムリさん、みっちゃんさんでお願いします。では、そうたさん対戦よろしくお願いします。リングへどうぞ」
そうたさんがリングに上がり、対戦が始まる。そうたさんのキャラはピーチ姫。
「ええい、ピーチ姫ごときがクッパに勝てると思ってんのか! マリオにいつも助けられてるやつが」
対戦が開始してすぐさま、ピーチ姫目掛けて走る。
炎のような遠距離攻撃よりも、横BやA攻撃のような近距離の方が攻撃が多く入るからだ。
一方、ピーチ姫は飛び道具で対抗してくる。カブを投げてきた。
「カブ、ウザいな。ってかさ、なんでピーチ姫、カブなんか投げてんの? ピーチ姫とカブってなんか設定あったっけ? リスナーさん達、知ってる?」
『カブが好きだから』
『キノコよりカブの方が好きだから』
「キノコ王国なのにカブが好きとか。キノピオかわいそう」
対戦は話しながらでも進む。
カードしながら近づき、クッパの横蹴りを放つ。ピーチ姫はキノピオを盾に使い蹴りを防いだ。
「キノピオガード。……これって雇用条件に入ってんのかな?」
ふとした疑問。ピーチ姫との対戦のたびに使われるキノピオガード。
身を挺してピーチ姫を守るキノピオの姿は、可哀想に思える。
「キノピオって衛兵だっけ?」
『雇用条件は草』
『衛兵じゃないの?』
『違くね』
『住民』
「住民! あはははは、やばいな! それ本当? 本当だったら、結構やばくない。姫さま、住民を盾にしちゃってるじゃん!」
キノコ王国のことを想像したら、ちょっとツボる。住民全員キノピオで、全員ピーチ姫の盾。
ダメだ。笑っちゃう。
『じゃあ、住民全員盾説』
笑いを堪えていたのに、書き込みを見て吹く。
「あはははははははは! じゅ、住人。全員とか。あはははははは」
目に涙が溜まり、視界がぼやける。戦いに集中できない。
「待って、ちょっと待って、そうたさん。笑い止まらん!」
そう言うがピーチ姫のコンボをくらいクッパ一機死亡。
『ピーチの逆襲』
『ピーチの怒り』
「いつも誘拐されてるからかな、ピーチ姫怒んないでよ」
だいぶ息が整ってきた。まだ一機残ってるし、大丈夫大丈夫。
「さて、ピーチの残機減らしますか!」
息巻いていたのがいいが、ものの数十秒でリングアウト。
「…………」
なんもいえない。
『ピーチ、相当おこだな』
『えげつないコンボ』
『クッパ死亡』
『やられてて草』
『草』
『草』
コメント欄に『やられてて草』とか書かれているが気にしない。
気を取り直して、
「次行こう!」
次の対戦相手のキャラは--ピーチ姫。
「よし。違う人がピーチ姫操作してるけど、復讐だ。さっきのお返ししてやる」
クッパ対ピーチ姫、2戦目。
「おらくらえ! スライディングでぶっと、ッ! ガードすんじゃね」
「燃え滓にしてくれる! どうだ、これがクッパ様の、カブ投げんな!」
「あっ! ちょっと待って、そのコンボさっき食らった。痛いからやめ、やめでぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」
『ピーチ姫の逆襲』
『ピーチ姫うますぎ』
『ピーチ姫流石』
『ピーチ姫良くやった!』
『クッパ様の力w』
『クッパ様とか草』
『クッパ雑魚』
『ピーチ姫の残機ぐらいは減らしな』
リスナーさん達、なぜピーチ姫を褒め称える。アンチか、アンチなのか? ブロック案件か、ブロック案件か?
…… 落ち着け、落ち着け俺。 大丈夫、大丈夫だから。行けるから、倒せるから、ピーチ姫なんか。
「クソピーチが、調子に乗るなよ!」
その後、ピーチ姫の残機減らしたものの、ダメージ量が120を超えており、リングに戻ってきたピーチ姫にぶっ飛ばされる。
『復讐失敗』
『ピーチ姫に2連敗』
『もう誘拐できないw』
『マリオいらない』
『草』『草』『草』『草』
いや、マジでピーチ姫がこんなに強かったら、マリオいらんし、クッパ自身誘拐とか考えない。
「ピーチ姫がこんなに強いなら、キノピオを盾に使うの止めろよな。キノピオがかわいそう」
『キノピオは盾』
『盾以外の使い道なし』
キノピオ好きが、このコメント見たら、コメント欄荒れそう。
「ええ、皆さん。キノピオの誹謗中傷はお辞め下さい。キノピオは盾ではなく住人です、キノコ王国の。悪いのは、キノピオを盾として使っているピーチ姫ですので、そこんところよろしくお願いします」
キノピオがかわいそうなので、矛先をピーチ姫へと向ける。
「じゃあ次の方どうぞ」
キャラ選択をして、決定。
もちろん、クッパ。これが一番使いやすい。
「さあて、次の人は何を使うのかな!」
クッパ対ピーチ姫。
「はあああああああああ! またこいつとかよ‼︎」
発狂したせいで、コメント欄には『うるさい』の文字が流れ続ける。
「ピーチ姫、やだ。嫌い。ブス」
『暴言が小学生』
『語彙力低下中』
『ピーチ姫が勝つ』
「おい、今ピーチ姫が勝つって打ち込んだやつ誰だよ。勝つのは俺だから!」
ピーチ姫との3戦目。先制攻撃はクッパのスライディング。ダメージ量はあまりないので、吹っ飛ばない。が、追撃出る。
「食らえ、ボディープレス! からの甲羅攻撃!」
順調にダメージ量を増やしていく。こちらはまだ1ダメージも喰らっていない。
「ピーチ姫、さっきはよくもやってくれたな! 今度こそ復讐だ。泣いても許さねぇ」
カブを投げてくるも、タイミング良くガード。炎攻撃で地味にダメージ量を稼いでいく。
「おいおい、マリオ呼ばなくて平気かい? このままだとピーチ姫負けるぞ!」
『マリオ呼んでこい』
『このピーチ姫負けるぞ!』
『クッパやっと復讐を遂行できる』
「おらおら、どうした!」
23とダメージを貰いつつも、ピーチ姫の残機を1つ潰す。
「見たか! これがクッパ様だ!」
『よ、クッパ様』
『クッパ様、最強』
『ピーチ姫負けるぞ!」
これは勝てる。そんな手応えがある。
復帰したピーチ姫を待ち構え、全神経を指に込める。これは落とせない戦い。これに勝てば、ピーチ姫に念願の復讐ができる。
復帰したピーチ姫がリングに降りてくる。そう、俺はここで畳み掛け、
「ここで畳み掛け、あっ、ちょ、まっ、はああああ‼︎」
畳み掛けようとしたはずのクッパが、ピーチ姫にスマッシュされる。しかも、1ダメージも与えることなく、だ。
『おっ?』
『雲行きが』
『これは?』
リングアウトした瞬間に、ピーチ姫はポーズを取る。2回も。あきらかに挑発行為。
「煽ってくんじゃね、ピーチ姫如きが!」
『そのピーチ姫にやられるクッパ』
『煽られてて草』
『負けたな草』
『草』『草』『草』『草』
「まだ負けてねぇ。これからが勝負だし」
復帰後の無敵時間でピーチ姫にダメージを入れようとするが、ガードし、攻撃が阻まれる。
「いもんな! 引きこもるな!」
そう言った直後、無敵時間は切れ、ピーチ姫の怒涛の
「ごめんなさい、ごめんなさい! いもってていいから、引きこもってていいから、攻撃やめて!」
対戦相手はリスナーさん、この配信を見ながらやっているのだろう、コンボが途切れる。
「ひぃ、ひぃ。……死ぬ。ダメージ量がヤバい」
ピーチ姫のダメージ量は12と低め。対してクッパは怒涛の
『もうダメだ』
『また負けた』
『3連敗』
「まだ分からん、まだ分からん。そのまま、いもっててください」
ガードしてるリスナーさんに向けて攻撃を仕掛けていく。
しかし、リスナーさんの方がプレイ技術が上のようでステージの
「逃げんな、待て」
制限時間が刻一刻と迫っていく。
追いかけ攻撃するも、リスナーさんはガードし逃げていく。
そして、時間になる。
タイムオーバー。
残機は同じだが、ダメージ量が違う。圧倒的、俺の方が多い。
コメント欄は見るまでもなく、
『3連敗』
『3連敗』
『3連敗』
『草』『草』『草』
俺の負けを称え、『3連敗』の三文字と『草』の一文字で埋め尽くされる。
逃げられた。そして負けた。
「ああああああああああ」
コントローラーを投げたい気持ちに駆られる。しかし、配信者。そんなことはしたくない。したくはないのだが、
がしゃん。
「…………」
『‼︎』
『‼︎』
『‼︎』
「はあぁぁぁ。悔しぃぃぃぃ」
配信を見ているリスナーさんには、俺の声が遠くから聞こえて来ているに違いない。
だって、今コントローラー取りに行って、席から離れているんだもん。
リスナーさん達も声が遠くから聞こえてくる理由に察する。
『あと1人残ってる』
『勝てるよ、滝さん』
『さっきの試合は惜しかった』
『次勝てるな』
優しいリスナーさん達に優しい言葉をかけられる。
めちゃくちゃ嬉しい。めちゃくちゃ嬉しいのだが、苛立ちは消えない。
「最後の対戦相手、ギッタンギッタンのボコボコにしてやる」
早く対戦したい。この怒りあのピーチ姫にぶつけたい。
ん? 相手のキャラクターはピーチ姫か、って?
絶対そうだね。だって、基本リスナーさん達はノリがいいもの。
こういう時は必ず俺を使って面白いことするもん。
そんな事を思いながらクッパを選択していく。最後のリスナーさんも選択が終わったようで、対戦が始まる。
クッパ対ピーチ姫。本日4戦目。0勝3敗中。
「やっぱりね。来ると思ったよ。予想できちゃってんもん」
『まあこうなるわな』
『予想できる』
『4戦目もピーチで草』
「はああ」と溜息を吐き、コントローラーを握る。今度こそは、今度こそは、と願い、深呼吸。
「よっしゃ、かかってきなさい」
結果から言うと、こいつが一番強かった。ピーチ姫歴代最強ってなぐらい強かった。
残機を一つ削るどころか、相手のダメージ量は30もいかなかった。
『4連敗』
『こいつ強!』
『滝弱』
リスナーさん達にそんなこと言われて悔しい。悔しいが致し方ない。だって、4連敗だもの。
「ええ、開始から2時間と45分経ちました。本来ならまだ配信を続けているところですが、ピーチ姫に4連敗したという事実が受け止められないので、今日はここまでにしたいと思います」
『受け入れろ』
『仕方ない』
『クッパ負け』
「ええ、ご視聴ありがとうございました。また明日配信をしていきたいと思うので、よろしければ見に来てください。配信はアーカイブの方に残しておくので、また見ていだだければ幸いです」
リスナーさん達のコメントを無視しようかと思ったが、『明日何やるの?』と質問を受けたので、それだけは答えとく。
「明日の予定を聞かれたので答えときます。明日の23時の配信は、まだ未定です。何をするかは、明日の20時ごろに通知を送ろうと思います。それでは皆さん、また明日。ばいちゃ」
そして配信を切る。
ふぅ、と小さく溜息。引き出しの中からタバコを取り出して、一服。
「スゥ、ハァー」
配信後は必ず一服をする。一服するのに大した時間はかからない。
一服を終え、歯磨きをし、就寝。
頭の中で今日の配信を思い返して、思うことがある。
「ピーチ姫うぜぇぇ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます