黒装束の女

 黒装束の男達が墜落したと思われる戦闘機の回りを調査している。


 彼らの動きは早く、とても人間とは思えない速度であった。

「生存者はいないだろうな」男達の中に一人だけ女がいる様子であった。彼女は厳しい口調で状況を確認した。

「乗っていた者は全て抹殺しました」もう一人の男が返答した。

「本当に確認したのか?」言いながら男は手に持っていた銃のようなものを樹木の間に向けて発砲する。それはレーザービームのように美しい軌道を描いた。

「うわー!」弾道の先で男が絶命するような声が聞こえる。どうやら、戦闘機に乗っていたパイロットのような姿であった。

「あっ・・・・・・えっ・・・・・」先ほど、返答をした男は狼狽えるようにたじろいだ。

「裏切り者め……、ついでに役立たずの、お前も死ね!」そう言うと女は再び、銃を構えて発砲した。被弾した男はその場で絶命する。

「任務を全う出来ぬ者は不要だ」そう呟くと女は数人の男達と供に燃えている戦闘機の側へと向かった。


ナオミは両目の視力をもう一度、視覚を調整し様子を確認した。

「二人殺されたかも・・・・・・・」ナオミを噛み締めた。

「・・・・・ミサキちゃん乗って!」ナオミと俺は、バイクに飛び乗った。

 発進した後には、もの凄い土埃が巻き上がった。ナオミはハンドルを持ち上げて、バイクをウィリーさせる。 俺は振り落とされないように再びナオミの腰に必死にしがみ付いた。

 バイクは宙を舞った。


 男達が気づいた時には、俺達の姿は消え、ただ、無人のバイクが地面に衝突しただけのように見えたであろう。

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