第22話見えていなかったもの

 コツッ。コツッ。コツッ。

 重苦しい自分の足音だけが俺の耳に入ってきていた。

 時刻は夕暮れ時。どんよりしていた最近の天気とはかけ離れ、今日の天気は晴れやかだった。


 綺麗な夕日とは反対に俺の心は汚れていた。

 今日のこの天気は俺を祝福してくれるようなものであったと信じていた。信じたかった。

 でも現実は違った。天気が良ければ、いいことが起きるなんて幻想に過ぎないんだ。


 今日一日かけても戦果はゼロ。マーグネースは未だに解呪されないまま。

 明日は結衣が退院する日。それでも、まだ車椅子。

 俺がこのまま彼女を好きでいたらよくないことが起きる。今度はもしかすると取り返しがつかないかもしれない。


 だからと言って、彼女を無視するのはかなり気が引けた。

 自分は一度経験しているのだ。好きな人に無視される辛さを。


 結衣はようやく自分の持っていた病気を克服して、幸せになることができるんだ。それを俺自身が踏み潰すような真似をするのが心に染みた。


 俺は自分の街に帰るのが嫌で、故郷をぶらぶらと歩いていた。

 このままどこか遠くに行くのもありかなと沈んだ心は正気の沙汰とは思えなことを考えていた。

 田んぼを抜け、気づけば商店街へと足を運んでいた。


 今はもしかすると喋る声などの雑音に触れた方がいいのかもしれない。

 足を商店街に向けたまま歩き出す。

 途中売店で肉まんを買ったが、うまく喉を通らなかった。でも、食べた。


 今度はゲームセンターの中に入ってみた。何かすれば、邪念を忘れられるかもしれない。

 色々とやってみたが、全く効果はなかった。

 これで悩みが解けるようなら苦労はしないだろうと後悔した。


 そうしてまた俺は商店街を歩いていく。

 結局、何も癒すことができないまま商店街を出ることになった。

 明日からどうやって、結衣と接しよう?


 思考はいつのまにか傾いていた。

 望んではいない。ここまで頑張ってきたのに、結衣との関係を自ら分かつことなんてどうしてもできなかった。


「智風……」


 商店街の出入り口でぼっと立ちすくんでいると不意に誰かに声をかけられた。

 それはとても懐かしい声音だったと思う。


「和紗……」


 見ると目の前には見知った顔がいた。

 ぼーっとしているような垂れ目。黄土色のショートヘアで先がくるくるになっている。胸は大きくも小さくもなく、高校生の平均ほどだ。


 幼馴染の『王理 和紗』がそこにはいた。


「久しぶり」


 垂れ目を上げ、優しそうな口調で彼女は言った。


「ああ、久しぶり」


 俺もそれに応えるが、思っていた以上に声が低くなっていた。

 今ので、和紗にはある程度伝わってしまっただろう。昔から敏感なところがあるんだ。

 目を瞬かせ、虚ろになる彼女。何かを言おうとするが、言い淀む。


 和紗の中では今何を言えばいいのかが試行錯誤されている。

 文面からもわかるが、彼女の言葉は胆略化しすぎて何を言っているのかわからないことがある。


 それは『傷つけないよう、傷つけないよう』とする彼女の優しさが言葉選びに時間をかけ、少ない単語で話す方向へと傾けていった。効果が逆へ向いているとは知らないままに。


「ねえ、智風。少し一緒に歩かない?」

「……ああ……」


 絞り出した和紗の提案に素直に乗った。どうせまた歩くつもりだったから。

 和紗は俺の言葉を受けると後ろを向き、歩き出した。

 ついていくように俺も歩き出す。


 二人で歩いているにもかかわらず、横に並ばず前後になっているのが違和感を感じさせる。でも、直す気にはなれなかった。

 いつも二人で歩くときは大体俺が話題を吹きかけるのだが、正直今は話そうという気が起こらない。


 誘っておきつつも和紗は歩いていく。この中でも彼女の優しさはにじみ出ていた。

 歩幅があっている。俺が合わせたわけではないのに前にいる和紗がうまく合わせてくれていた。

 ほんとこの気遣いは尊敬に値するべきだと思う。


 互いに同じ歩調で歩いていく。無言にもかかわらず、隣に誰かいてくれるのはありがたい。むしろ、無言だからありがたいのかもしれない。

 ずっと歩いていくと人混みを抜け、田んぼにやってきていた。


「智風、このあともう少し時間ある?」

「大丈夫だ」


 振り向いた彼女はまた進行方向へと顔を向ける。

 この方向はもしかしてあそこに行く気なのだろうか?

 さすがに十数年暮らしているこの地域の土地勘は数カ月程度では抜けていなかった。


 和紗が何をしようとしているのか大体予想がついてくる。

 確かにあの場所なら、この汚れた心を癒すには最適の場所かもしれない。


 俺たちは歩き続ける。歩幅を俺に合わせることによって、重い足音が倍になったが、今はなんだか悪い気がしなかった。


 田んぼを抜け、山へと入っていく。

 夕暮れ時の山道は足場が悪かった。木々によって光は遮られており、電灯がついていない。目が慣れてくれば問題はないのだが、それまではうっかりこけるなんてこともあったりする。


 こんな悪状況の道を嫌がらずに見られるのはこの先にある場所がとてもいいものであるから。


「着いた」


 和紗が言うが、わかっていた。

 山を登っていくと途中、小休憩所のような場所が現れる。

 その場所はこの街の全体が見えるような作りになっており、一言で言うと『絶景』だった。


 俺は見晴らしのいい景色が好きでよくいろいろなスポットを回って、絶景巡りをしてい

た時期があった。そんな中で見つけた一つがここだった。


 この場所は小休憩所と言うこともあり、規模が小さい。そんなことがあってかこの場所を発見した人たちは独り占めするようにあまり人に話さない。

 口コミが流れないためレアなスポットとなりつつある。なので今ここにいるのは俺と和紗の二人だけ。


「ここに誘いたかったんだな」

「うん。智風、顔色悪かったから。これ見ればきっと元気になってくれると思って」


 俺は中央に置いてあったベンチに腰をかける。

 元気までは出なかったけれど、心が落ち着いていく感じはした。

 夕日はもう直ぐ沈んでいき、夜がやってくる。空を覗けば、ちらほらとフライングした星たちが光り輝いていた。


 和紗が隣に座る。さっきまで前後関係だったので、少し違和感があった。


「ねえ、智風。なんでここに来たの?」

「……なんとなくな。少し、昔に戻って気を紛らわしたかった」

「そのためにわざわざ遠くからここまできたの?」

「……ああ、そうだ」


 マーグネースのことは他言無用。

 別に嘘はついていない。マーグネース解呪という目的がメインだったが、何も起こらなかった今はむしろそっちの方がメインだと思う。


「気を紛らわしたかったってことは向こうで何かあったってことだよね……やっぱり結衣のことかな?」

「そうだな。結衣のことでは思い悩んでいない。って言ったら嘘になる」

「……あんまりいい関係にはまだなっていないんだね」

「ああ、そうだな」


 多分、今はとてもいい関係になれている。病院での会話は中学の頃の俺たちがしていたそれに相似するところがあったから。


 でも、その関係も今日で終わらせなければいけないことになる。今度は立場が入れ替わって。


「なあ、和紗」

「何?」


 前を向き、なるべく和紗の顔は見ないようにして口にした。多分今あまりいい表情をしているような気がしなかったから。


「目の前にさ、好きな人がいたとしてさ。その子の手が届く範囲にいたとしてさ。何もされず、何もできなかったら女子としてはどう思う?」


 しばしの沈黙が起こる。和紗のシンキングタイムが始まっているんだろう。

 俺は待つことにした。和紗の考えがまとまるのを。

 もしかすると和紗にこういう質問をするのは間違いだったかもしれない。


 昔の彼女は今よりもっと口が達者だった。自分が思ったこと素直に口にしていた。

 それは和紗の長所だっただろう。クラスのみんな彼女に相談を持ちかけたりしていた。

 率直な和紗の発言はある意味中学生にとっては感銘を受けることだったんだろう。


 でも、一部例外はいる。ある時、和紗の助言を鵜呑みにした女子が自分の恋に失敗にして和紗に八つ当たりしてきた。

 初めての罵倒に和紗の中で何かが崩れたんだろうか。それ以降あまり喋らなくなった。呼応するように表情も固いものになっていたと思う。


 だから気がつけば、和紗に相談する人数は減っていた。

 和紗にとっての長所がなくなってしまったが、彼女はまだ自身の長所にすがっている。誰かに相談してほしいと心から思っている。


 幼馴染だからその辺なんとなくわかっちゃうんだよな。でも、だからこそ真剣に向き合ってくれる和紗に俺は相談していた。


 やっぱ、変わったな。体感的には数分経過しているが、和紗からはまだ返事がもらえない。

 正直、恋愛的な相談って爆地だらけだ。


 率直に否定的発言をしようものなら怒られるし。だからと言って肯定的発言をして、失敗しても怒られる。不条理すぎるだろ。


「すまん、和紗やっぱ……」

「悲しいよ」


 止めようと和紗の方を振り向いた矢先、彼女からの答えが出た。


「悲しいよ。すっごく。近くにいるのに見てもらえないとか、気を配ってくれないとかされたらたまったものじゃないと思う。声をかけても軽く流されたり、こっちから少し気を配ってみたりしても何も気づいてくれなかったりしたら、少しの間されただけでも、やっぱり心は痛くなっちゃうよ」


 やっぱ、そうだよな。その点に関しては男も女も変わらないよな。

 無視されたり、拒絶されたりしたら傷つくに決まっているよな。


 短い期間でもか。奇跡的に数日間の間で解呪したとしても、その間結衣にやったことは彼女の心に多大な傷を負わせることになるんだな。


「どうしたらいいんだろう?」

「どうしたら……」 


 つい口から漏れてしまったことを和紗は質問だと思い、再び考える。

 小言とは言え、それを拾い上げるのも和紗の長所かな。いや、短所かもしれない。

 再び始めるシンキングタイムかと思ったが、意外にも早く答えが出そうだった。


「やっぱり、直接言ってみるのがいいと思う。当たって砕けろ……みたいな」

「だよな。さすがに砕けるのは嫌だけど」


 けれど、結衣の性格的に直接言ってくるのは難しいだろうな。内向的なところあるから。梶川あたりに相談はしそうだけど。

 となると梶川も結構苦労人だな。


「あと……」


 少し経った後、再び和紗が別の案を言おうとした。でも、次の言葉が全く出てこない。

 シンキングタイムの始まりだろうか。言ったほうがいいのか悪いのか吟味しているに違いない。


「言ってくれ、和紗」


 もしかするとそこに答えがあるかもしれない。

 目を大きくし、和紗を凝視する。


 和紗は口をつぐもうとする。あまり言いたくない言葉のようだ。でも、悪い方にしか傾かないのはもう仕方のないことなんだろう。あとはどの程度の加減できるかにかかっている。


「言ってくれ、和紗。俺全部受け止めるから」


 言わんとしていることは多分とんでもないことかもしれない。俺を怒らせるようなことかもしれないから和紗は口を噤んでくれているんだと思う。


 なら答えは出ているんじゃないか。

 わかっていた。どうせこの方法しかないんだって。なら、せめて今まで付き合ってもらった和紗に言ってもらうのが一番中もしれないと思った。思ってしまった。


「その……」


 和紗は噤んでいた口を開ける。微かな吐息に紛れて言葉をつないだ。


「他に好きな子を作るとか」


 はっ……

 一瞬、何を言っているかわからなかった。

「諦める」と素直に言われると思ったが、まさか具体的な案が出るとは思ってもみなかった。


「ねえ、智風」


 呆気にとられた俺に追い打ちをかけるように和紗は言葉を続けた。

 ほおは微かに赤くなっていた。


「私ずっと前から智風のこと好きだった」


 えっ! 

 想像の十歩先を行くような展開に思わず目を丸くする。

 和紗が俺のことを好き。全く気づいていなかった。

 ちょっと待て、自分のことが好きな子に今まで相談とかしてたのか。


「ねえ、智風」

「は、はいっ」


 思わず、たじろいでしまう。いや、何を緊張しているんだろうか、俺は。


「その……私じゃいけない? 智風にとっては結衣の方が大切っていうのはわかっているけれど、もしそれで傷ついているのならば、私じゃダメかな?」

「あ、えっと……」


 熱を帯びている頭を冷やしていく。隣にはまだ熱を帯びているのか瞳がうるうるして、顔が赤い和紗がいた。

 結衣のことで傷つくくらいならいっそ和紗にか。でも、それは逆に結衣を傷つける。

 だからと言ってこのままだとどのみち彼女を傷つけることは確定的なんだ。


 ならば、これはこれでいいのか。結衣が俺を無視していたということを口実にして和紗と付き合う。それなら結衣は割り切ってくれるだろうか。それじゃ……


「ごめん、さすがにそれはできないよ」


 って、そんなわけないよな。

 和紗は目を丸くしている。


「そっか」


 でもそれは一瞬の出来事で、次にはもう優しい眼差しでこちらをのぞいていた。

 もしも、俺がマーグネースのことを聞かされていないまま結衣の無視を受けていたのなら和紗の今の言葉を鵜呑みにしていたかもしれない。


 拒絶する結衣に滅ぼされた俺は和紗にすがっていたと思う。

 幼い頃からの付き合いだし、和紗はいいやつだ。歳を重ねるごとに好きになっていったに違いない。

 中学校の頃に結衣に会っていなかったら今頃俺は和紗と付き合っていただろう。


 けれど、今は違う。

 マーグネースのことを知って、結衣の気持ちを知って、呪いから抜け出せない辛さを知った今は結衣のことがとても愛おしく感じてしまう。


 必死に頑張ってくれた結衣がとても好きで好きでたまらないんだ。


「俺さ、どれだけ辛くてもやっぱり結衣のそばにいてやりたいって思ってるから」


 そこでハッと気づいた。

 もしかしてこれが答えなんじゃないか。


 マーグネースの呪いは物理的に結衣に襲いかかってくる。ならば、俺がいつも結衣のそばにいてやれば、多少なりとも災難は防げるんじゃないか?


 遠く離れてしまっても、俺は多分結衣のことを心の何処かで思ってしまうだろう。それがマーグネースの呪いの引き金となり、結衣を不幸な目に合わせてしまう。


 ならいっそのこと近くにいて、結衣を守ってあげるのがいいのではないだろうか。

 俺自身の不幸は俺自身で止めるべきなのではないだろうか。


「あ、そっか。これがこた……」

「嘘」


 えっ。ふと俺の思考を遮るように和紗が言葉を漏らす。


「智風のこと好きなのは嘘だよ」

「う……そ……」


 ええ、この状況下で嘘言えちゃうのかよ。こっちはかなり本気にしてしまったんだけど。


「よかった。智風が結衣のこと大切に思っていてくれてて」


 和紗はそう言うと、ベンチから立ち上がり、前の方にある手すりへと向かっていった。


「もし智風が結衣のこと嫌いになっていたら智風と幼馴染の私のメンツが丸つぶれだからね」

「いや、なんで和紗に関係するんだよ」

「そりゃー、いつも一緒にいたからね。智風が良くない行動をすると私まで良くなくなっちゃう」


 和紗はあの頃の口が達者だった頃の彼女に戻っているように思えた。


「じゃあ、俺は良くなくなちゃってたんだな」

「うっ。そう。だから、智風を悪くした私には智風事情に詳しくなる必要があると思った。特に恋愛関係ついてだけは敏感にならないといけないと思った。だから私は智風に近寄ってくる女子をしっかりと吟味していたの。て言っても智風のところに来る女子はいなかったから何もできなかったけど」

「お前もさらっと罵倒するよな」

「で、吟味していたら智風の方から急に『好きな人ができた』とか言って来るから驚き」


 そういえば、結衣のこと最初に話したのは和紗だったっけな。初恋だったからどうすればいいかわからなくって同じ女子の和紗に相談したんだ。


「だから、最初智風の相談に乗りつつ、個人的に結衣がどういった存在であるかをしっかりと調べたわけ」


 俺が知らない裏でそんなことやっていたのか。もし、結衣が和紗判定に外れてたらどうなっていたんだろうな。


「いろいろと結衣の事調べているうちにね。なんとなく智風が結衣のこと好きになる理由

がわかった気がしたんだ」


 和紗はこちらを向いて、言葉を付け足す。

 なぜだか、彼女は笑顔だった。そんな姿に思わず見とれてしまった。


「だって、智風と結衣って似た者同士だったもの」


 だからだろうか。その言葉が妙に引っかかったのは。


「似たもの同士か?」

「そう。結衣と智風って結構行動が似てる部分あると言うか。智風ならこうしそうだなって言うところを結衣がまんまやってたりしたし」


 俺の中で歯車が回り始めた気がした。この数ヶ月間の記憶が走馬灯のように俺の元をかけていく。


「だから同タイプは同タイプを愛するって言うか。類は友を呼ぶって言うか。この人なら智風をきっと大切にしてくれそうだなって思ったの」


 自分の中の心の闇が次第になくなっていく感覚に襲われた。


「和紗」

「ん、何? 智風。って!」


 こちらを見た和紗はとても驚いた表情をしていた。

 瞬時、目に溜まっていたものがあふれ出るようにして、両ほおを伝わっていった。


「ありがとう」

「智風、泣いてる、泣いてる!」


 最近こう言うの多いよな。無意識に涙が出ちゃうから。正直困ったものだ。俺ってこんなに涙もろかったっけ。


「大丈夫だ。ありがとう、和紗。おかげでうまくいきそうな気がしてきた」


 念を押すようにもう一度感謝の気持ちを述べておく。


「えっ。いや、別に。私なんにもしてないと思うけど。ただ嘘ついただけと言うか」

「ははっ。確かに嘘ついただけだな。でも、それでかなり励まされた。だから」


 ベンチから立ち上がる。多分今までにないくらい良い表情ができている気がした。


「和紗に相談してよかったって思った」

「はっ」


 俺の言葉に何を思ったのっか後ろへ退くような動作をする。ほおは赤かった。


「ねえ、智風」

「どうした?」

「絶対にね、絶対に結衣といい関係になってね」

「……ああ、必ず約束する。今ならやれる気がする」


 気持ちのいい笑顔で和紗にそう答えた。

 俺の中での答えが見つかった気がした。まだ確かなものではないけれど、きっとうまくいく。なんせこちらには保証人がいるんだから。彼女の鑑定眼はそう甘くない。


「じゃあ、和紗。俺行かなきゃいけないところを思い出したから。今日はこれで」


 一言置いて俺は後ろを向き、山を降りることにした。


「またこっちに遊びにきてね」

「近いうちにまた来るさ。今度は結衣も一緒にな」

「うん。待ってる」


 足を前に出し、俺は走り出した。

 やっぱり、今日の天気は快晴だったかもしれない。今上にいる星たちは自分のことを祝福してくれているのかもしれない。


 そう思えるほど、今の自分の心は澄んでいた。

 たどり着きそうなたった一つの可能性に向けて、俺は走り出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る