第14話 間話 勇者会議

王都


「集まったか」


フレイは深刻な顔をしながら自分のパーティメンバーを呼び出していた。 丸い机を挟みながらフレイ、サナ、スレア、そしてセルマが座っていた。 サナ以外のパーティメンバーはなぜフレイに呼び出されたのか分からずにいた。 


「おいフレア。 なんで俺らを呼ぶんだ? こっちは忙しいから魔法越しでいいかって聞いてんのにダメって言いやがって。 変な内容だったらただじゃ置かないからな?」


「その通りです。 私も実験の途中だったのに無理やり連れて来られました。 なんなんですか? 死にたいのですか?」


二人とも忙しい中無理やり王都に連れて来られたことが気に入らず、少し不機嫌な顔をしていた。 そんな中クリスの深刻な顔に驚いた二人は静かに黙った。


「二人共。 落ち着いて聞いてくれ。 クリス先生が死んだ」


「「・・・・・・は?」」


二人はそう言うと口をパカッと開けたまま黙ってしまった。 サナは泣き始めフレイはものすごく悲しそうな顔をしていた。


「そんな訳がねぇだろ! あのクリス先生が死ぬ訳がねぇだろ! あの人は俺たちよりは強くないがそれでも世界で20位以内に入る人だぞ!」


「事実だ。 今朝マリスの町で遺体が見つかったと報告された。 そしてこんなメッセージが残されていたそうだ。 こう書かれていたらしい」


フレイは机に一つの紙を置いた。 そこにはジャックが書いた”勇者共に粛清を”が書かれていた。その言葉を見た三人はゾッとしていた。


「だ、だがよ! 先生は勇者じゃねぇだろ! なんで先生が殺されたんだ?」


「多分私たちに恨みを持ち、先生にも恨みを持った人がいたんですね。 でしょフレイ?」


サナの答えにフレイはコクリと首を上下に振った。 その返事でセルマは黙り、スレアは考え始めた。 するとフレイは突然立ち上がった。


「犯人は多分こいつだと思う。 昨日最後に冒険者登録をし、冒険者を斬殺し一人の受付嬢以外を全て殺し回った奴がいる。 そしてその受付嬢曰く「あいつが帰ってきて皆んなを殺したのよ。 名前は言えないわ。 言ったら殺されちゃうのよ! だけど勇者の人たちは皆んな知っているあの人よ」って言ったそうだ。 正直俺は一人しかいないと思っているんだが」


フレイの言葉に他3人は固まり、一人の男を想像した。 約2ヶ月前上位ダンジョンの最下層に置いてきぼりにした元勇者パーティの荷物持ちだ。


「そんな訳がねぇだろ! あいつはじゃあダンジョンから戻ってきたのか!?  だがどうやってだ?」


「それは分からないです。 ですが彼は不死身の体を持っていました。 どうにかして抜け出したとしてもクリス先生を倒せるはずありません。 理解不能です」


「だがアイツは俺らを殺そうとしてる。それだけは事実だ。 皆気を付けろ」


「は! アイツが来た所で俺が返り討ちにしてやるよ!」


「同感です。 私はモルモットにやられる訳ないのです」


二人は闘志を燃やし、部屋を出た。 フレイとサナが残った部屋で二人は話し出した。


「そう言えばアイツの妹はどうするの?」


「大丈夫だ。 まだ手は出させてくれないがいつかはヤって処刑するさ」


「ふふふ。 楽しみね」


二人は肩を合わせながら笑った。 だが彼女達は知らない。 ジャックがじっくりと殺しにきてる事を。


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Side ジャック


『マスターよ。 次は何処にいくのだ?』


「次は魔術学園で生徒のフリをしながらスレアを殺す。 その後はセルマだ。」


『なる程長い旅になりそうだな』


ジャック達は魔術学園に向かうために歩き出した。

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