第13話 死ねない冒険者はクリスと戦う2
俺はグラムを持つ右手を前に出しエクスカリバーの刃が自分の後ろに来るように構えた。 対するクリスは魔導書を開き、詠唱を始めた。 クリスの職業は魔法剣士という職業で剣と魔法を同時行使する上級職業である。 この職業は非常に難しく絶妙なコントロールと剣での攻撃を同時にやらなければ魔力のコントロールを間違え暴走してしまい、剣に力を入れると魔法が弱くなってしまう。 だがこの職業を完全に習得すると非常に強いが完全習得する人は少なく世界に10人しか存在しない。 クリスはそのうちの一人である。
「珍しい二刀流ですね。 貴方みたいな持ち方をする人は初めて見ましたよ」
「俺の師匠はこの持ち方が一番いいって言っていてな。 俺もこの持ち方が一番あってるんだよっと!」
俺が走り出すとクリスは巨大な火球を放ちたが俺は避けずにグラムを火球に向けて斬撃を与えた。 すると次の瞬間火球が突然消滅した。 俺のグラムは破滅の剣。 魔法くらい消滅させるのは造作もない。 俺は何度も魔法を打ってくるクリスの近くに近づいた。 すると俺の周りに突然と鎖が現れ俺の体を拘束した。
「どうですか? これは私のオリジナル魔法『バインドチェイン』です。 この鎖に捕まったらもう死ぬまで離れませんよ? さぁもう降伏しなさい。」
「へぇ、死ねば取れるんだな? なら死んでやるよ」
俺はこうなる事を予測していたので事前に狩人に渡された速攻の毒薬を歯に詰めていたのでそれを使い死んだ。 俺が死ぬと鎖は消え俺は直ぐに生き返り、落とした剣を手に持ち焦っているクリスに突っ込んだ。 クリスはとっさに持っていた剣で俺の攻撃を受け止めたがもう一つの攻撃に耐えれず剣を落としてしまった。
「しまった!」
「させるかよ!」
俺はクリスが剣を取りに行く瞬間を見逃さず俺はクリスに向かってエクスカリバーを投げた。 クリスは魔法で勢いを相殺させようと魔法を放った。 次の瞬間エクスカリバーと魔法はぶつかり爆発した。
「焦りましたね! もし貴方があの魔法無効化の剣を投げてれば私は避けられなかってでしょがね!」
「どうかな? よく見てみろ」
俺はニヤリと口に笑みが溢れた。 真っ黒な煙の中から一つの高速な何かがクリスに向かって行った。 そうグラムだ。 俺は絶対にクリスは自分の思う最強の守りに頼ると思い事前に俺は以前修行中に手に入れた闇魔法『偽装』 を使い、グラムをエクスカリバーに見せて魔法が当たった瞬間にグラムを中心として闇魔法『暗黙』を使っていたのだ。
閃光のように飛んでいくグラムはクリスの左手に当たり、左手は跡形もなく吹き飛んだ。 壁に刺さったグラムに先端には魔法書を貫いており、グラムの魔法消滅の効果で魔法書はキラキラと光りながら消滅した。
「私の腕ガァァァ」
「もう終わりだ。 諦めろ」
俺は幻像魔法を一回解き俺は魔闘牛の短剣を手に持ち近づいた。 そしてクリスの右腕を短剣で切り取った。 血は出ていないが特殊ボーナスの効果でクリスは激痛に襲われた。
「うあああああああああああああああああ。 貴様ァ!」
「どうだ? 苦しいか? 俺はもっと苦しかったんだぞ?」
俺はクリスにポーションを浴びせるとみるみる傷が治るが俺は先ほどの傷より深く傷つけた。 そして俺は何度もその行為を繰り返した。 そして数時間が経過した。
「も、もうやめ、やめてくれ」
「ん? やめる訳ないだろ? 本当の苦しみはこれからだ」
俺は先ほどまでは傷口を集中的に狙っていたが今度はクリスの足に刃を近付けた。
「ま、まさか! やめてくれもう痛いのは懲り懲りだ!」
クリスは俺が何するか気付きやめるように言ってきたが俺はにっこりと笑った。 そしてクリスの足を切り落とした。 俺はその場でクリスを放置し、痛覚が減ったらまた足を切り落とした。 クリスはものすごい激痛に襲われながらも俺をじっと睨んでいた。
「こ、この悪魔め! 貴様には良心はないのか!」
「お前だけには言われたくねぇよ。 そうだ! なーなクリスさんよ。 あの勇者達の場所を教えてくれよ。 そうすれば拷問は終わりにしてやるよ」
「ほ、本当か!? あいつらの居場所教えたら終わりにしてくれるんだな?」
「ああ、本当さ。 俺はお前らと違って嘘はつかないからな」
俺が微笑みながらそう言い返すとクリスの目に光が戻った。 そしてクリスはゆっくりと口を開いた。
「フレイとサナは知ってると思うから省くがスレアは魔王討伐の報酬で今は魔術学園の教師をやっている。 セルマも報酬で剣術学園の理事長をやっている。 ほら! 言ったぞ! これで本当に終わりなんだな?」
「ああ。 終わりだとも。 拷・問・はな。 お前はもう用済みだから死ね」
「は? ふざけんな! 約束がち」
俺はエクスカリバーを抜き、クリスの首を切り落とした。
(はぁ。 まずは一人復讐完了だ。)
俺はふぅ、と呼吸をしクリスの遺体を持ち外に出た。 外に出るといつの間にか日が暮れており辺りは真っ暗だった。 俺はクリスの遺体を町の中心に置き、その上からクリスが使っていた剣を突き刺した。 俺はクリスの血でとあるメッセージを残し兵士に見つからない様に町から去った。
『まずは一人だな。 どうだ? 今の気持ちは?』
「とても清々しいよ。 今まで引っかかっていた物が取れたみたいだ。 だがまだ一人目だ。 あと4人いる。引き締めていくぞエクス」
『イエス。マイマスター。 派手に暴れようではないか!』
俺はクリスを拷問しているときに何も感じなかったわけではない。 寧ろ吐き出したかったくらいだ。 だが俺は復讐を決めた身だ。 そのためなら俺は感情でもなんでも捨ててやるさ。
俺は自分の指輪が光っている事に気づき指輪を外すと指輪は真っ黒な仮面に変化した。 形は上半分しかなく狐みたいな形をしていた。 俺はその仮面を着け暗い夜道を歩き始めた。
次の日町ではクリスの死体で大騒ぎになっていた。 そして誰もが血で書かれたメッセージに怯えた。
”勇者共に粛清を”
〜一章 死ねない冒険者 完〜
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