第7話 闇の虚空

俺は狩人の攻撃を受け、気がつくと真っ黒な空間にいた。 その空間は広く何もなかった。


「あぁ?なんだ此処?」


「此処は闇の虚空。 何もなくただお前を閉じ込める為の空間である。 此処で貴様は朽ち果てる運命なのである」


俺がそう呟くと何処からか狩人の声が聞こえ、俺は狩人に閉じ込められてる事を知った。 俺は辺りに何かないか探していたがこの空間は本当に何もなく唯々無の空間が広がっていた。 


此処に来て一週間が経過した。 俺死に戻りでなんとか生きながらえてはいるが流石にキツくなってきた。 この世界には俺の武器が一つもない為俺は自害が出来ず餓死を待つだけだった。 最初の日から狩人の声は聞こえなくなり、俺が出せと叫んでも何も反応しなかった。


(焦ることはない。 あと70回死ねばポイントが手に入る。 此処を出れるスキルを手に入れられることを祈ろう)


俺は後70回死ぬまで此処で耐えることを決めた。



此処に来て一ヶ月がたった。 正直暇すぎる。 せめて武器があれば此処でも修行ができたが何もない為俺は座って死ぬを待っていた。


俺が此処に来て半年が経った。 


「うああああああああああああああああああああ。 出してくれぇ! 頼む!」


俺はこの空間にいることが苦痛となり一ヶ月ほど叫んでいた。 だが狩人の気配は無かった。


此処に来て八ヶ月が経った。


「どうしてこんな事になったんだ。 俺が何をしたって言うんだ。 もう嫌だ。 こんな所にいたくない」


俺は精神が崩壊し、情緒不安定になっていた。 死ぬこともできずすることがない為俺はなぜ此処にいるかも忘れてしまった。 


(もう考えなくて良いや。 何もかもがめんどくさい。 なんでこんな所にいるんだ。 俺はずっとこのままなのか。)


「はは、はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」


俺はこの時考える事をやめた。


それから数年、いや数十年が経過した。 俺はただずっと座り込んでいた。 いつしか俺は死ななくなっていたが今の俺には関係のない事だった。 遠くからカシャンカシャンと音が聞こえ出した。 そう狩人だ。 狩人は俺の目の前に立った。


「どうやらやっと落ち着いた様だな。 貴様とは一度話してみたいのだが?」


「・・・・・・・・・」


「ふむ。 精神が壊されて我が誰だか分からぬのか。 ならば一度死ね」


狩人はそう言うと。 剣を出し、俺の首を斬り落とした。 俺は直ぐに生き返ると少し精神は治り始めた。


「俺は何をしていたんだ?」


「よし、これで話せるな」


「・・・・・・ああ。 そうだな」


俺がそう返事すると狩人は俺の目の前に座り込んだ。 また腕がバチバチ光り、そこから酒樽とグラスが二つ出現した。 狩人は酒をグラスに注ぐと俺に渡してきた。 俺はそれを受け取り、一気に飲み干した。


「で? 話って?」


俺がそう狩人に聞くと狩人は兜を外すと狩人の顔が露わになった。 狩人の顔は誰に聞こうがイケメンと答えそうな顔立ちに金色の髪、赤い眼を持っていた。 狩人も酒を一気に飲み干すと口を開いた。


「我が聞きたかったのはなぜ貴様はあそこまで憎悪に満ちていたかだ。 別に貴様が死なないのはスキルのおかげであろう」


俺は自分が狩人と戦う前に何があったか話した。 自分が勇者パーティの荷物持ちだった事、置き去りにされた事、強くなって妹を救い出し、他のパーティメンバーに復讐する事。


「・・:って事があったんだ。」


「ふむ。 大変であったな。 そうか、今の勇者はクズであったか」


狩人は悲しそうな顔っをしていた。 


「貴様力が欲しくないか?」


狩人は俺にそう問いかけてきた。 俺は少し悩んだが力はあった方がいいと思い欲しいと言った。 すると狩人の顔がにやけた。


「そうか。 ならば付いて来るがいい」


狩人はそう言うと立ち上がった。 俺も立ち上がると狩人の前にゲートが出現し、狩人はその中に入って行った。 俺も後を追う様に入って行った。

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