第5話 死ねない冒険者は強敵に遭遇する


俺は短剣を手に入れた後も順調に上へ進んでいき、遂にはあと一層まで来ていた。 


「やっとここまで来たか。 予定より少し長かったな」


俺はたかが一層でモンスターは弱いが油断はできないため俺は慎重に進んでいた。 すると出口の方からガシャンガシャンと鈍い音が響いている。 俺は絶望した。 よりによって今一番会いたくなかった奴に会ってしまったからだ。


「っチ! 狩人か」


俺が一番会いたくなかった奴、それは狩人だ。 こいつはモンスターなのだが、ダンジョンを行き来することができ稀に一層でも見かける奴だ。 能力はボスをも超え、知識があるのか戦い方がしっかりしており何処ぞの騎士みたいな見た目をしている。 見つけた冒険者は見失うまで素早い動きで追い、見失ったら別の冒険者を探しだす本当にめんどくさい奴だ。


「GRAAAAAAAAAAAAAAAA」


「畜生! やるしかないのか!」


俺は短剣を構え、身体能力強化を使用、そして先制攻撃をすべく走り出した。 狩人は剣を構えながら走り出した。 そして俺の前で素早く剣を振り下ろした。 俺はその攻撃を飛んで避けたが狩人はそれを読んでいたのか剣を俺の真下に置き、突き上げた。 剣は俺の腕を斬り落とした。


「くそったれ!」


俺は右手に持っていた短剣で狩人の鎧の隙間に突き刺した。 だが刃はそこまで通らず体勢を直した狩人の剣によって俺の首は吹き飛んだ。


「AAAAAAAAAAAAAAAAAA」


狩人が勝ったと思い叫んでいると、俺の体は修復され立ち上がった。 俺はまた身体能力を使用し、狩人の足に無理やり刃を押し込んだ。 足の部分の鎧は壊れ刃が足に触れ、アキレス腱を切った。


狩人は俺が生きてる事に気づき剣を俺の背骨に突き刺し俺はまた死んだ。 だが直ぐに生き返り剣を刺されたまま俺は無理やり立ち上がった。 そして一歩下がり狩人の剣を引き抜きそのまま自分で首を切った。


そして万全の状態で生き返ると俺は自分の短剣と狩人の剣を持ち二刀流にした。 


「確かにお前は強いけど武器がなけりゃ少しは弱体化するだろ?」


「・・・・・・」


俺がそう言うと狩人は黙っていた。 すると腕がバチバチと光りそこから弓が出現した。


「良い考えだがそれでこの我を倒した気になるな」


「・・・・・・うそーん」


俺は先程まで「AAAAAAAA」など言っていた狩人が普通に喋れる事と弓が出現した事、二つに驚きが隠せなかった。

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