第34話 フィリピン散策6

 マニラ首都圏は年中無休で激しい交通渋滞をしています。朝夕のラッシュ時だけでなく終日,15分で行けるはずのところを1時間は優にかかることもざらで,約束の時間に間に合わせるために途中から歩くこともしばしばあります。特にEDSA通りは北からマカティに向かう唯一の幹線道路で,普通は20~30分で行けるところが,数時間かかるのが普通です。EDSA通り以外でも,南からマニラ市の港に向かうサウス・スーパーハイウエイもコンテナトラックの列で,終日ほとんど動いていません。首都圏の鉄道は,LRT1とMRTの環状線,マニラを横断するLRT2,PNR(国鉄)しかなく,輸送力が小さく,ラッシュ時は超満員です。そのため,自家用車を持たない庶民は,長距離移動のためのバスあるいはUV(小型の乗り合いバン),中距離移動のジープニー(乗り合いタクシー),タクシー,そして、短距離用のトライシクル(三輪バイク)あるいはパジャック(三輪自転車)などの公共交通手段を利用するため,無数の自家用車がひしめき合っている。ジプニーなど車で移動するしか方法がありません。フィリピーナが待ち合わせ時間に遅れると,いつも「トラフィック」と言い訳する気持ちもわかります。

 2015年,国家経済開発庁(NEDA)は,交通渋滞で毎日30億ペソ(約80億円),年間1兆ペソ(約2兆6000億円)の経済損失が生じていると発表したことがあります。損失額は国内総生産(GDP)13兆ペソの8%,国家予算の半分に相当します。

庶民はターミナルでいつ乗れるかわからないバスなどを待って毎日数時間を費やし,ラグナ,カビテ,ブラカンなどのベッドタウンからの通勤にエネルギーを使い果たしています。

 これを解決するためには,①鉄道網の充実,②南北高速道路の接続,③マニラ港の移設などが不可欠ですが,それがいつの日になるのかはGOD NOWS(神のみぞ知る)です。

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