第37話 カネゴン

 カネゴンとは,1966年(昭和41年)に放映された,円谷つぶらやプロダクション制作の特撮テレビ番組「ウルトラQ」に登場する怪獣。

 英字表記:KANEGON

 「ウルトラQ」に登場する怪獣の中で最も知名度が高い。別名コイン怪獣と呼ばれ,硬貨を主食としており,常に食べ続けていないと死んでしまう。

身長:2メートル

体重:200キログラム

出身地:東京近郊

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 マネゴンとは,今後放映されることはないParuParoプロダクション制作のファンタジー番組「ウルトラP」に登場する怪獣。

 英字表記:MANEGON

 「ウルトラP」に登場する怪獣の中で最も知名度が高い。別名カネゴン2

身長:1メートル50センチ

体重:80キログラム

出身地:マニラ・トンド地区

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(予備知識)

 Moneyとは「マニー」と発音するのが英語に忠実な表記だが,わが国ではなぜか「マネー」と発音・表記する。「No money,No honey」は,「ノーマニー,ノーハニー」(金がなければ彼女もできない。)は,英語では韻を踏むことになるが,「ノーマネー,ノーハニー」では韻を踏まないことになる。「ネー」と「ニー」を正しく区別すべきである。

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 アビゲイル・キャッシュ・ゴンザレス(Abigail Cash Gonzalez)のニックネームはアビゴン。アビゴンは,フィリピンの英雄マニ-・パッキャオ(Manny Pacquiao)を崇拝するシングルマザーである。

 アビゴンは,3人目の男と3度目の妊娠をした。男は,妊娠した途端,いつものとおり脱兎の如く逃げていった。

 アビゴンは,生まれたばかりの娘を「マニー」(Money)と名付けた。フルネームは,「マニー・キャッシュ・ゴンザレス」(Money Cash Gonzalez)ということになる。将来,水商売でも何でもしてカネを稼いでほしいという願望があったからである。

 マニーには,いずれも種違いの兄と姉がいる。

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 マニーは,成長するにつれ,その名に恥じることなくカネの亡者となり,高校を卒業するのも待てず中退し,年齢を偽って,マラテのKTVでホステスとして働き始めた。

 ある夜,酔客の日本人オヤジが落とした,カネの匂いがする不思議な財布(繭のような丸い形をしている)を盗んで持ち帰った。

 その夜,敬遠なクリスチャンであると自称する母アビゴンは,マニーに対し,「人の落としたカネを盗んだりすると邪悪な伝説上の怪獣マネゴンに変身してしまう」「財布を持ち主に返さないとマネゴンになる」と執拗に忠告・説教するも,マニーは「そいつは頼りになりそうな怪獣」「なれるものならなってみたいわ」と一笑に伏し,その財布に入っていたカネで最新型のiPhoneを買った。

 しかし,その後,マニーは本当にマネゴンに変身し始めてしまう。恐怖と興奮の中,1か月かけて徐々に変身した。変身完了の日の朝,夜明けと共に誕生したマネゴンは,驚いた母と兄,姉を背に家を飛び出し,KTV仲間のフィリピーナたちを巻き込んで,客のオヤジたちとトラブルを引き起こす。

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 マネゴンの容姿を言葉で表すのは難しい。

 外見は,痩せたくまモンのような奇妙な体型。

 頭や顔は存在せず,その替わりにアンコウの口のような大きなガマ口がある。ガマ口にはファスナーの歯が付いている。そのため,アンコウかガマガエルのような「顔」をしているように見える。

 ガマ口の中には牛タンの100倍もの大きな舌がある。

 硬貨はガマ口で弾かれ,食道に直結する肛門から放出される。大きな舌は排出する硬貨を選別するためのベルトコンベヤーの役割を果たす。

 顔=ガマ口全体ににはそばかす状の黒い粒々模様がある。

 顔=ガマ口の上部ににある2本の長い突起物は,カネ持ちのスケベオヤジを探す触覚の役割をする。

 目は2本の突起物の先端に小さく飛び出ており,垂れてぎらついた眼球からはカネを持っていそうなオヤジを目の前にすると感情が高ぶり,感激の涙がこぼれ落ちるが,ボトルを頼まない貧乏くさいオヤジを見ると怒って煙を噴出する。

 その目は,10キロメートル先の財布まで見え,厚い財布はさらによく見えるという,生きるための特殊な能力を身につけている。

 胸にはレジスターが付いており,金銭欲神経の作用で動かす筋肉で作動させ,ガマ口から入金されたカネの偽札鑑定機となっており,札の本物と偽物を鑑定する。

 胃の判別液で真札を金額ごとに判別後,大腸と小腸で,高額紙幣から順番にエネルギーを吸い取り消化する。

 大腸と小腸で吸収したカネは,その額によりマネゴンの活動エネルギーに変換され,旨に設置されたレジスターに表示される数値が上がる。

 消化しきれない本物の紙幣は小腸の横にある札袋に貯蔵され,1万円札ならば100枚貯めることができる。

 足の甲には2つのボンボンがあり,スケベオヤジを見るたび光りだす。

 全身は銅でできた鎧をまとったような姿(火星人と形容される)で,太く短い尻尾の先端は、金払いの悪いスケベオヤジを刺し殺すため尖っている。

 性格は少女の時とうって変わって気が強く,変身前は引っ込み思案でドリンクの注文はワンセットに1回だったが,変身後は,高速ドリンク注文やヘルプ攻撃を駆使するなどしてKTVのナンバーワンとなった。

 硬貨は一切食することなく,紙幣のみを主食としており,常に食べ続けていないと死んでしまうという難儀な体質をもつ。1日あたり10万円の紙幣を食べ続けなければならず,人類史上最もエンゲル係数の大きい怪獣である。胸のレジスターのカウンターに体内のエネルギー量が表示され,それがゼロになると死亡するので,カネを食べ続ける。

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 マネゴンは,カネを奪ったオヤジたち(彼らもかなり金に意地汚い)の逆襲に遭いそうになって逃げ出し,ついに銀行強盗をするに至る。

 騒動の末,マネゴンは,ちりめん問屋の隠居クンニエモンと名乗る老人から,スケベオヤジたちの天敵である性悪ピーナを逆立ちさせれば元の人間に戻れるというかなり無茶な予言を受けて実行した。すると,マネゴンは,尻から火を噴くロケットと化して飛び去り,上空からパラシュートで降りて来たところ,マネゴンは,もとのマニーの姿に戻った。

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 喜び勇んで帰宅したマニーは,母アビゴンと兄,姉の異変に驚愕する。マネゴンが数日前に銀行強盗して食べ残したカネをネコババしていたファミリーは,マネゴンと化していたのである。

 照れ笑いを浮かべる3匹のマネゴンを見たマニーは,ただ呆れ果てるばかりであった。


おしまい


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