第22話 南の島から余計なお世話1

 前回,日本のピーナ好きスケベオヤジに対してメールを一斉送信したところ,次のような苦情が返信されてきました。

 差出人欄:「フィリピーナを愛するオヤジより」

 件  名:「対案を示せ!」

 宛  先:「南の島へ」

 あんた,きれい事ばかり言うんじゃないよ。我々だって日本人である以上,日本人の若い女にモテたいのは山々だが,一体日本のどこにカネもない年寄りを相手にしてくれるやつがいるんだ!フィリピーナは,平均的な日本人の収入があれば金持ちだと思ってくれるし,年寄りだからといって差別することはない。

 確かに,ジャパゆきさんとして来日し,ピンパブで働くフィリピーナは本国で貧困生活をしているだろう。シングルマザーであったり,無職の旦那がいたり,娘に寄生する両親またはゴッドマザーもいるだろう。しかし,我々がフィリピーナと出会える場所は,ピンパブ以外に存在しないではないか。水商売をしているフィリピーナがダメだというなら,一体どこで若いフィリピーナと出会えるというのか。お水のピーナがダメだというなら,対案を示せ!

     *****

 確かに,フィリピンに住んで英語を話すことができれば,ショッピングモールの売り子やホテルの受付嬢などをナンパすることも(勇気があれば)できるでしょう。しかし,日本に住んでいる以上,そのような機会はありません。万一あってもできないでしょう。若いフィリピーナが好きで,ピンパブでしか出会うことができないのであれば,コスパは悪いですが,ピンパブ嬢の中から性悪ピーナを除外したうえで選ぶしかないでしょう。私は,万国共通,原則として水商売の女をおすすめすることはできませんが,原則には例外があります。原則と例外の割合は,9:1だと思ってください。

     *****

 1割の正常なピンパブ嬢を口説き落とすため,中国の兵法書「孫子そんし」の一節を紹介します。

・「を知り己を知れば百戦殆うからず」(敵と味方をよく知るなら,どんな戦いにもほとんど破れる心配はない。)

・「を知らずして己を知れば 一勝一負す(敵の実情を知らなくても勝てることはあるが,負けることもある。)

・「彼を知らず 己を知らざれば 戦う毎に必ず殆し」(敵のことも味方のことも知らないなら,何度戦っても必ず危険に晒される。)

 「彼を知る」とは,フィリピーナとはどのような民族なのか,どのような思考をし行動をするのかを知ることです。これについては,「カクヨム」というサイトで 

「フィリピーナを愛したオヤジたち」を読めば完璧にマスターできます。くれぐれも,フィリピーナが日本の女性と同じ思考・行動をするなどとは思ってはいけません。むしろ,フィリピーナは日本の女性と異なる思考・行動をするからこそ,日本女性には相手にされない日本のオヤジ・爺さんを相手にしてくれるのです。

 「己を知る」とは,戦うための準備を周到にせよという意味です。「100回戦っても大丈夫」(100回惚れても無傷)なのはあくまでも適切な準備ができているからで,それが戦う(交際する)ための条件だと言っているのです。相手(フィリピーナ)の優位性と弱点について知る(「彼を知る」)だけでなく,自分(日本のスケベオヤジ)の優位性と弱点を知ることが重要です。英語にも次のような戒めの言葉があります。

Know yourself as well as your enemy.(敵を知るように自分自身を知れ)

If you know the enemy and know yourself, you need not fear the result of a hundred battles.(もし敵と己を知るなら、百戦の結果も恐れることはない)

 これを日本のスケベオヤジにあてはめると,オヤジの優位性は,カネを持っている(と誤解されている)こと,弱点は,日本のオヤジはスケベだという先入観(真実である。)をもたれていること,下心が見え見えであること,妻子持ちであること,予算が限られており,いつまでも見栄を張れないことなどでしょう。

     *****

 それでは具体例を見るとしましょう。

 例えば,ボクシング選手の場合,対戦相手の攻撃防御能力を繰り返しチェックし,得意な攻撃方法(と不得意な攻撃方法)や不得意な防御方法(と得意な防御方法)をくまなく分析するということです。対戦相手の実情を知って勝ち目がないと判断すれば,損失を避けるために「戦わない」という孫子の兵法を選択すべきです。ボクシングや登山といった身の危険が伴うスポーツの場合には「引く勇気」が重要です。

 これを日本のスケベオヤジにあてはめると,ピンパブ嬢の発言やメールによる勧誘(「もっと店に来てカネ使えや。」)を繰り返しチェックし,「I miss you.」「Hello!」「How are you?」「Ohayo」「 Konbanwa」「Aitaiyo」などの営業メール(フィリピーナが最も得意とする攻撃方法です。)は,ボクシングでいうところのジャブです。ジャブでダウンするオヤジも中にはいるでしょうが,そのような弱者であれば,そもそもリングに立ってはいけません。せめて「オトーサン/ビョーキ」「オカーサン/シャッキン」「Help」と言われるくらいの信頼感をもたなければなりません。そして,お目当てのフィリピーナがシングルマザーであったり,秘密の夫やパトロンがおり,自分はただの金づるにすぎないとわかったら,それ以上のカネを使わず「諦める」(戦わない)という選択をすべきです。「引く勇気」がなければ一家離散,破産宣告となるでしょう。自分は金づるにされようとしているのか否かを見分けるためには,今後「フィリピーナを愛したオヤジたち」を読み続けるしかないでしょう。

 受験や就活のための面接をひかえた学生の場合,試験の出題傾向に応じた勉強の仕方,面接官から投げかけられるであろう質問に対する回答の内容ということになるでしょう(傾向と対策)。同時に自分の学力を正しく認識し,今の勉強法に弱点はないか,ついやした時間の長さだけで努力した気になっていないかを厳しくチェックすることが求められます。「成果の伴わない努力は時間の無駄」とは孫子の言葉です。

 これを日本のスケベオヤジにあてはめると,ピンパブ嬢の発言やメールの文言に応じた対応の仕方,フィリピーナから投げかけられるであろう質問に対する回答を予め用意しておくべきです。例えば,上記のような営業メールに対しては,「I miss you,too.」とオウム返しの技を使うとよいでしょう。佐々木小次郎の燕返し,忍者対策の忍び返しに匹敵します。

 「Help」という反則技(ラフプレー)に対しても,日本男児たる者,フェアプレーで立ち向かわなければなりません。「同情するならカネをくれ。」と攻撃されたら,パトリオットミサイル,別名イエス・バット・ミサイル(Yes,but,missile)で迎撃しましょう。「イエス,バット,私はまだお客さんのままで,ユーの恋人でもないから・・・(ヘルプしたくてもまだできないよ。)」などと言って,相手の出方を待ちましょう。「Noと言えない日本人」である以上,イエスと答えるしかありませんが,「恋人になれば,」「すなわち肉体関係をもてば」ヘルプしてあげるとほのめかすことによって,相手の本気度を観察するのです。ただし,日本人である以上,「ヤリ逃げ」は止めましょう。

 ビジネスマンの場合,ビジネス上の相手は,顧客とライバル企業でしょう。ビジネスマンとして勝ち残るためには,まずは戦い続けるために損失をマネジメントすることが不可欠です。孫子は敵というリスクをよく知ることで,戦わずして勝つ方法を見出すこともできると教えています。

 これを日本のスケベオヤジにあてはめると,お目当てのピンパブ嬢を口説き落とすためには,ライバルのオヤジに打ち勝たなければなりません。1割の正常なフィリピーナにはライバルのスケベオヤジが殺到します。そのような激しい戦場では,自らの財布の中身(実弾)を冷静に見つめ,予算と予備費を計上し,ライバルのオヤジの財力,ルックス,年齢等を総合考慮し,口説き落とすための損失を管理しなければなりません。ここでも,ライバルにとうてい太刀打ちできないとわかったら「引く勇気」が重要です。

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 「彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず」は,第三者の公平な立場から冷静に勝算を分析することの大切さや準備の必要性を教える古い兵法の一つです。とはいえ,気が済むまで分析や準備に時間を費やしていたのでは機を逸し,ライバルのオヤジに攻め込まれて負けてしまいます。戦うことを選択したら,次は優先順位を守って来たるべき日に備えましょう。フィリピンの歴史と現状を分析し,お気に入りのフィリピーナを口説き落としたいオヤジは,ぜひとも「フィリピーナを愛したオヤジたち」を読んでください。

 「愚者は失敗から学ぶ。賢者は歴史から学ぶ」のです。勝つと決めたときからすでに戦いは始まっているのです。

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