シェーヴィル同盟の街並み
シェーヴィル同盟唯一の都市、それはドランノーガを初めとするサイ達が今まで見てきたゴーレムトルーパーの何十倍も大きなゴーレムトルーパーの上に存在していた。
本来ゴーレムトルーパーの自己進化機能は、操縦士の戦い方等を参考にして自分が最善とする姿へと進化するものなのだが、このシェーヴィル同盟のゴーレムトルーパーは機体を大きくして多くの人々を乗せる姿を「最善」としており、今もまだ機体を成長させているらしい。シェーヴィル同盟の国民達は共同で自分達を乗せているゴーレムトルーパーの管理と整備を行うことで、これまでモンスターの被害に襲われることなく共存してきたのであった。
シェーヴィル同盟が他の国々とほとんど関わりを持たなかったのも、ゴーレムトルーパーの上で暮らすという特殊な生活も関係していて、こうしてシェーヴィル同盟にやって来たサイ達は実に久しぶりの他国からの来客なのである。
「ここがシェーヴィル同盟の都市か」
ゴーレムトルーパーの背中にあるシェーヴィル同盟唯一の都市にやって来たサイは物珍しそうに周囲を見回した。
シェーヴィル同盟の都市にある建物は、金属製のゴーレムトルーパーの背中に粘土等を貼りつけて作った土台の上に建てたテントのようなものであった。これはモンスターに襲われないように常に移動しているゴーレムトルーパーの背中に普通の家を建ててもすぐに崩れてしまうのと、崩れてもすぐに新しいのを建てられるからだ。
都市にあるテントは全て色とりどりな布を使っている為見た目も華やかで、ゴーレムトルーパーの上であるという事も気にならず、サイと同じように周囲を見回していたブリジッタが興奮したように口を開く。
「ええ、素晴らしいです。安全でだけでなく、常にゴーレムトルーパーと触れ合えるだなんて、まるで夢のような都市ですね」
ゴーレムトルーパーの大ファンで、幼少の頃から前文明の研究をしていたブリジッタは頬を赤くして言い、サイ達はそれに思わず苦笑を浮かべる。するとそこに一人の女性が現れた。
「我が国をお褒めいただきありがとうございます。他国から来たお客様の皆さん」
「貴女は?」
クリスナーガが自分達の前に現れた女性に質問をすると、彼女はクリスナーガ達に向けてお辞儀をした。
「私は皆さんの案内役として参りました。少しの間ですが、どうぞよろしくお願いします。さあ、長老の方々がお待ちです。どうぞついて来てください」
案内役の女性はそう言うと、テントばかりのシェーヴィル同盟の都市で唯一金属を使って建てられた塔、腕を組んだ状態で立つゴーレムトルーパーの戦士の上半身を指差すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます