北の国へ
サイ達にイーノ村への帰省を命じたフランベルク三世は、短くても十日以上長くて一月は、サイ達をイーノ村で休息を取らせるつもりであった。しかし予期せぬ事態が起きた為、フランベルク三世は急ぎイーノ村へと使者を送り、サイ達をイーノ村から王都リードブルムに呼び戻した。
「すまなかったね。帰省を命じておきながら、こうして急ぎ呼び戻したりして」
王宮にある執務室でフランベルク三世はイーノ村から戻ってきたサイ達に謝罪をする。それを見てサイが僅かに慌てたように答える。
「い、いえ! 陛下が謝ることではありません。それより一体どの様な用件で俺達を呼び戻したのですか? 使者の方の話だと急ぎの用件みたいですけど?」
「ああ、そうだ。実は君達がイーノ村に帰省してすぐにシェーヴィル同盟からの使者が来たのだよ」
サイの言葉にフランベルク三世は、彼らがイーノ村に帰省してから何があったのかを話しだした。
「使者の話によるとシェーヴィル同盟だけでは対処できない問題が起こったらしく協力を求めているそうだ。そして我がフランメ王国だけでなくアックア公国、ソル帝国、アイゼン王国にも同様の使者を送っているそうだ」
「ちょっと待って伯父様。シェーヴィル同盟って今まで他国とあまり関わりを持たなかった国でしょう? それがいきなり他国に協力を求めるなんて何があったの?」
クリスナーガの質問にフランベルク三世は首を横に振る。
「悪いがこの場でその質問に答えることはできない。……実は私もまだ正確にシェーヴィル同盟で起こった問題を把握していないのだ。一つ言えるのはこれは今までの問題、国同士の戦争やモンスターとの戦いとは少し違うということらしい」
「国同士の戦争やモンスターとの戦いとは少し違う……ですか? それはどのように違うのですか?」
フランベルク三世の言葉にピオンが首を傾げて質問をすると、フランメ王国の国王は改めてサイ達の方を見た。
「それをシェーヴィル同盟から聞き、対策を考えてほしくて君達を呼び戻したのだよ。すでに他の三ヶ国も同様に人材を送り出している」
「その人材って『キマイラ』の隊員ですか?」
サイが聞くとフランベルク三世は小さく頷いて答える。つまり他の三ヶ国がシェーヴィル同盟に送った人材というのはサイ達がよく知る人物、ビークポッドやマリーにジェラード達なのだろう。
「それとシェーヴィル同盟には彼女も連れて行ってほしい。……入りたまえ」
フランベルク三世がそう言うと執務室の扉が開いて一人の女性が入ってきて、サーシャがその女性を見て口を開いた。
「あれー? ランじゃない。どうしたのー?」
執務室に入ってきたのはランであった。
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