事件の中心人物
「今日もか」
「今日もですね」
サイとクリスナーガとブリジッタ、三人の結婚が決まったとクリスナーガから聞かされた日から数日後。サイが自分の前に並べられているいくつもの包みを見ながら呟くと、隣にいるピオンが頷いた。
サイの前に並べられている包みは、サイ達三人の結婚を祝うフランメ王国の貴族達からの贈り物である。そしてここにあるは今日受け取った分だけであり、数日前から似た様な贈り物が連日サイの屋敷に送られているのだった。
「全く……。俺は別にこういうのはいいんだけどな」
「でも向こうもマスターに贈り物を受け取ってもらおうと必死みたいですよ? これを持ってきた貴族の使いの人、何度も頭を下げて受け取ってほしいと頼んでいたそうですから」
サイが溜め息を吐きながら言うと、ピオンがこれらの贈り物を受け取った現在居候状態のクリスライドの部下の一人が困り顔で言った話を思い出しながら言う。
「ちなみにサーシャさんも士官学校で、貴族の子弟にパーティーに呼ばれるようになったと言っていましたよ? 全て断っているようですが」
「そうか……。サーシャも災難だな」
ピオンの言葉にサイはサーシャの顔を思い浮かべてもう一度溜め息をを吐く。元々生まれは貴族とは名ばかりの辺境の村民であったサイとサーシャは、最近は大分慣れてきたとはいえ上流貴族の空気を苦手としており、それなのに貴族のパーティーに招待されても迷惑でしかないだろう。
サイの発言と態度は貴族としても軍人としても減点ものだが、自分の主人である青年の事情を知っているピオンは小さく苦笑を浮かべるだけで何も言わなかった。
「これってやっぱりアレだよな? 俺とクリスナーガとブリジッタの結婚が決まったからだよな?」
目の前の贈り物を見ながら呟くサイの言葉にピオンが頷く。
「はい。それとクリスライド君がミスト王国の監督役をやるのに乗り気になってサーシャちゃんの婚約者候補になったことも、王宮では噂になっているそうですよ」
「その事もか……。まだ正式に発表していないのにどこから聞いたんだか……」
サイがフランメ王国の貴族達の情報の速さに呆れを通り越して感心していると、ピオンが楽しそうに口を開く。
「ふふっ♩ 貴族の皆さんはとても焦っているそうですよ。何しろ単なる成り上がり者だと思っていたマスターがフランメ王国とアックア公国の王族と正式に結婚をして、その妹とであるサーシャちゃんはミスト王国の王族と婚約をするかもしれない。今までマスターを下に見ていた貴族の方々は見事なまでに勝ち馬に乗り損ねて、これらの贈り物はその焦りの現れというわけです。……マスターってば、本当に周囲を驚かせるのが好きですね」
新たなゴーレムトルーパー、ドランノーガの創造。
世界各地を荒らし回った黒竜盗賊団の壊滅。
フランメ王国、アックア公国、ソル帝国、アイゼン王国の同盟とそれを象徴する四ヵ国の戦力を集めた特務部隊「キマイラ」の結成。
どれも歴史に残ってもおかしくない出来事ばかりで、その中心にサイがいることをピオンは頼もしさを感じているような笑顔で言うが、当の本人は面白くなさそうに三度目の溜め息を吐いた。
「好きで驚かせているわけじゃないよ」
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