認められた理由
「……。……はい?」
「……。……ええっ!?」
自分達の結婚が決まったとクリスナーガに言われたサイとブリジッタは、思わず同時にお互いの顔を見合わせてから驚いた顔をクリスナーガへと向けた。
今更ではあるがサイとクリスナーガ、ブリジッタの三人は、フランメ王国とアックア公国の両者によって決められた婚約者同士である。
三人が婚約者同士となった理由は、先程クリスナーガがクリスライドに言った理由と同じ、ゴーレムトルーパーの操縦士となったサイをフランメ王国に縛り付けてアックア公国との同盟を強化するため。だが彼が急激に爵位を上げたいわゆる「成り上がり」であることと、フランメ王国とアックア公国の王族の二人と同時に結婚するなんて前例がないことから多数の貴族が異論を唱え、婚約者同士のままであった。
それがいきなり今度は逆に結婚が決まったと言われれば、当事者であるサイとクリスナーガとブリジッタの三人が戸惑うのも仕方がないことと言えた。
「また随分と急な話ですね? まあ、私としては歓迎ですが。やっぱりミスト王国の内乱を終わらせた功績のお陰ですか?」
ピオンが口元に笑みを浮かべてクリスナーガに質問をする。
今言った言葉の通り、ピオンはサイとクリスナーガとブリジッタの結婚を歓迎していた。クリスナーガとブリジッタと結婚をすればサイの名声は更に高まり、特にフランメ王国とアックア公国でサイに逆らおうとする者はいなくなるだろう。
その事を自分のことのように喜んでいるピオンの言葉にクリスナーガは頷いてみせた。
「それもあるわ。そしてブリジッタさんがザウレードの操縦士となったのも大きいみたいよ」
「なるほど、そういうことですか」
クリスナーガの言葉にヴィヴィアンが納得した表情でそう呟き、他の面子も似たような表情となる。
ドランノーガとザウレード。その操縦士であるサイとブリジッタが結婚をすれば、フランメ王国とアックア公国のどちらかでモンスターの襲撃等といった災害が起こっても、同盟の関係無しにこの二機のゴーレムトルーパーの救助を受けられる。そう考えたから今までサイ達三人の結婚に異論を唱えていた貴族達も賛成をしだしたのだろう。
「私はサイとブリジッタのオマケみたいな感じだけどね」
「いや、そんなことはないだろう」
「そうですよ。そんなことは言わないでください」
自嘲するようなことを言い出したクリスナーガにサイとブリジッタが声をかけると、クリスナーガも本気ではなかったようで、笑みを浮かべて二人を見る。
「分かっているって。冗談だから。それよりもサイ、ブリジッタさん、これから宜しくね」
笑顔を浮かべてそう言うクリスナーガにサイとブリジッタも笑顔を浮かべて頷いた。
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