内乱の理由

「ミスト王国で内乱、ですか?」


 王宮にあるフランベルク三世の執務室に呼び出されたサイ達は、着いて早々にフランベルク三世からミスト王国で内乱が起こった話を聞かされ、思わずブリジッタが呟いた。


「そうだ。昨日、報告が入ってきて確かな情報のようだ」


 ブリジッタの呟きに答えたのはフランベルク三世ではなく、彼の隣に立っているブリジッタの父親であるバルベルトであった。彼も今回の四ヶ国会議に参加しており、ミスト王国での内乱の報告を聞いていたのだ。


「お父様……。一体ミスト王国で何が起こったのですか?」


「簡単に言えば開き直って俺達に歯向かおうとする奴らと、敗けを認めようとする奴らの二つに割れたのさ」


 ブリジッタに聞かれてバルベルトはミスト王国で起こった内乱について簡単に説明する。


「俺達四ヶ国がミスト王国に落とし前をつけようという話は当然向こうも気づいていた。それで王国の大半は大人しく敗けを認めてこちらの要求を待つつもりのようだったが、国王とその周りは何をどう思ったのか、開き直って俺達との徹底抗戦を言い出したそうだ」


「その国王は馬鹿なのですか?」


 バルベルトの言葉にピオンは呆れたような顔で言い、バルベルトと同じような表情で頷いた。


「ああ、俺もそう思う。ミスト王国が現在保有しているゴーレムトルーパーは現在二機。グレドプテラみたいなよっぽどの隠し球がない限りは俺達四ヶ国と徹底抗戦なんて自殺行為でしかない。そしてミスト王国の敗けを認めた奴らも同じことを思ったようで、国王達に徹底抗戦を止めるように言ったんだが国王達はそれを聞かず、ついに内乱になったと言うわけだ」


 国王の言う徹底抗戦の考えに従ってもミスト王国だけではフランメ王国、アックア公国、ソル帝国、アイゼン王国の四ヶ国に勝てるはずもなく、ミスト王国は最悪滅亡するかもしれない。ならば強引な手段ではあるが、国王と徹底抗戦の考えに同調している者達を引きずり下ろし、四ヶ国に恭順する意思を見せることで滅亡という最悪の未来を回避しよう。


 そう考えたミスト王国の者達がミスト王国の国王に反旗を翻したのが今回の内乱の理由らしい。


「なるほど……。だったらその反旗を翻した奴らには是非勝ってほしいですね。それで内乱は今どんな状態なのです」


 ミスト王国の内乱の理由を聞いて頷いたジェラードが聞くと、今度はフランベルク三世がその質問に答えた。


「それなのだが後から来た報告によると国王側と反旗を翻した側、どちらもゴーレムトルーパーを保有していたみたいでね……。現在ミスト王国では二機のゴーレムトルーパーが睨みあっている様子だそうだ」

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