三機目のゴーレムトルーパー
惑星イクス最強の兵器ゴーレムトルーパー。
その主な任務は自国の防衛であり、防衛の為に戦うのは敵国の兵士やゴーレムトルーパーだけでなく、モンスターも含まれている。いや、元々ゴーレムトルーパーはモンスターと戦う為に前文明の技術の粋を集めて開発された存在なので、モンスターとの戦闘こそが本来の使命と言える。
そしてゴーレムトルーパーとその操縦士には、交代で国内の領地を周回してモンスターが現れていないか見張り、モンスターを発見したらそれを速やかに殲滅する巡回任務がある。
サイ達がフランベルク三世より与えられた任務はこの巡回任務であった。
「巡回任務か……。そういえばフランメ王国で巡回任務をするのはこれが初めてだな」
「そういえばそうですね」
フランメ王国の王都リードブルムの王宮にある格納庫で準備をしていたサイが呟くと、それを聞いていたピオンも頷く。
アックア公国の士官学校に入学していた頃はアックア公国軍……というよりビアンカからの要請でアックア公国内の巡回任務をしていた。しかしこうして思い返せば正式にフランメ王国の兵士になってからは移動やら急な任務が続き、フランメ王国の巡回任務を一度もしていなかった。
「えー? そうなんだー?」
サイが今までの記憶を思い返して、やはり一度もフランメ王国での巡回任務をしていないこと確認しているとサーシャが意外そうな顔で話しかけてきた。
今回の巡回任務はサイ達とサーシャで行うことに急遽決まり、格納庫の奥ではドランノーガとドラトーラを含めた「三機」のゴーレムトルーパーが並んで立っているのが見えた。
「じゃあー、この任務では私の方がー、先輩なんだねー?」
「ああ、そうだな」
サーシャは胸を張って少しだけ誇らしげにサイ達に言うと、格納庫の奥に視線を向けた。
「それでー、あのゴーレムトルーパーは何ー? 誰の機体なのー?」
「いや、それは……」
ドランノーガ、ドラトーラの横に並ぶ三機目のゴーレムトルーパーを見ながら聞いてくるサーシャに、サイは言葉を濁していると格納庫の扉が開き一人の少年が入ってきた。入ってきた少年はサイの屋敷で居候しているミスト王国の「元」王子クリスライドであった。
「あの、失礼します。お義兄さんとサーシャさん。ここに来るようにと王宮の人に言われ……て……!?」
格納庫に入ってきたクリスライドはサイ達の姿を見つけて話しかけてきたが、その言葉は途中で途切れることになった。サイ達の背後、格納庫の奥にある存在を見てクリスライドは、信じられないものを見たという表情となって思わず呟いた。
「グレド……プテラ……!?」
クリスライドの視線の先にあったのは失ってしまったと思っていた自分の愛機、ドランノーガとドラトーラの横に並ぶ三機目のゴーレムトルーパー、グレドプテラであった。
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