クリスライドの変化
「……と、そんな訳で俺はドランノーガを手に入れたんだ」
「そうなんだ」
夕食を食べ終えた後。屋敷の一室でサイとクリスライドは二人で話をしていた。
切っ掛けはクリスライドがサイに、これまでの思い出話を聞かせてほしいと言ってきたことだった。突然聞かれてきた事に疑問を覚えたサイだったが、特に断る理由もなかったし、クリスライドの様子が少し変わった気がしたので、自分の過去を話すことにしたのだ。
自分がイーノ村というフランメ王国の辺境にある田舎村で生まれ育ったこと。
幼馴染みで元は大貴族の令嬢であったアイリーンに誘われて、彼女と共に王都にある士官学校に入学したこと。
辺境から来た名ばかりの貴族であり持っている異能が戦闘に向いていないという理由で、士官学校での三年間、同級生だけでなく教師達からも差別されて辛い日々を送ったこと。
士官学校を卒業してイーノ村に戻った時に、実家の蔵の奥に前文明の遺跡に繋がる通路があるのを発見して、その遺跡でピオンと出会ったこと。
そしてピオンの案内で遺跡の奥にあるゴーレムオーブを発見して、それを遺跡の探索中に怪我をした手で触れたことによりドランノーガが誕生したこと。
そこまでサイが話すとクリスライドは興味深そうに何度も頷きながら聞いていた。
「それにしてもムカつくよね。そのアイリーンって女と士官学校の奴ら。……ドランノーガの操縦士になったら、そんな奴らいくらでも好きに出来るんじゃないの? やり返してやろうと思わなかったの?」
「あ〜……。ははっ……」
まるで自分が酷い目に遭わされたように恨みをこめた声でクリスライドが言うと、それにサイは苦笑を浮かべる。
「そうだな……。確かにドランノーガを手に入れたらアイリーンや他の皆を見返してやろうって気持ちはあったけど……。ドランノーガを手に入れてすぐに色々と予想もしない出来事がたくさんあったからな」
(あと、俺以上に怒って怖いことばかり言う
サイが最後の部分を心の中で呟くだけにして言うと、それを聞いたクリスライドが首を傾げる。
「予想もしない出来事? それって一体何が起こったの?」
「話してもいいけどかなり長くなるぞ? それでもいいのか?」
「別にいいよ。どうせ暇だし。あのゴーレムトルーパー、ドランノーガを手に入れてから何があったのか教えてよ、『サイさん』」
「『サイさん』、ね……」
サイはクリスライドが自分を呼ぶ呼び方、そして雰囲気が変わったことに内心で少し驚きながら、ドランノーガを手に入れてからの出来事を話すことにした。
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