ピオンのご褒美

「ん、ん、はぁっ……。ん」


 夜。アイゼン王国の王都にある合同部隊の宿泊用の建物の一室、サイ達が泊まる部屋で一人の少女の声が聞こえた。その声は苦しみに耐えていると同時に快楽に耐えているようでもあった。


「ああっ……。んん、あ、あん」


 聞こえてくるのは少女の声だけでなく、何かが破裂するような、あるいはぶつかり合うような音も聞こえてくる。それ以外にも何かが揺れる音や複数の人間が荒く息を吐く音もしてくるのだったが、それらの音よりも少女の声の方が聴く者の耳に入り、忘れられない色気を感じた。


「あ、あ、あ……! んん! ああん!」


 しばらく少女の声が聞こえてきた後、突然一際大きな少女の声が聞こえてきたと思ったら、少女の声と何かがぶつかり合う音がしなくなった。


「はぁ……♩ はぁ……♩ マスター……お疲れ様でしたぁ……」


 部屋にある寝台の上で先程から聞こえていた声の主であるピオンは、疲労しているがうっとりとした笑顔で「自分の上に乗っている」サイに向けて声をかける。


「ふぅ……。これで満足したか、ピオン?」


「はい♩ 見られながら一晩中スルのも中々刺激的で大満足です♩」


『『………』』


 サイとピオンは服も下着を着ていない裸で、満面の笑みを浮かべた彼女が周りを見回すと、同じく裸のヴィヴィアンとヒルデとローゼの三人が羨ましそうな表情でピオンを見ていた。


 つい先程までサイとピオンは一晩中体を重ねており、部屋には二人の情事による獣のような臭いが充満している。これは昨日、一人でミスト王国の軍人達を捕らえたピオンの、彼女自身が望んだ「ご褒美」であった。


 一人で危険なことをしたピオンの行動はあまり褒められたものではないが、それでも彼女の活躍のお陰でミスト王国がグレドプテラを動かした理由や次の動きが分かるようになったのは大きい。だから最初は叱ったサイだったが、その後にピオンを褒めて労おうとすると、彼女は今晩自分だけを愛して欲しいと言ってきたのだ。


 ちなみにサイの婚約者であるブリジッタとクリスナーガからも許可をとってあるが、その時に二人が苦笑を浮かべていたのは仕方がないことだろう。


「ピオンのお陰でミスト王国の動きが分かって助かった。今日は皆で対策を……んん?」


 情事で荒くなっていた呼吸が整い、今日の予定を話そうとするサイの口をピオンは自分の唇で塞ぐ。


「……ぷはっ。もう、マスターってば。こんな時にお仕事の話をするのは少々無粋ですよ?」


「ああ、すまなかった」


 唇を離し、わざとらしく怒ったような表情を作って言うピオンにサイも素直に謝る。


「それよりまだ最後にすることが残っていますよ? ……三人とも私の方はお願いしますね」


「最後にすること? ……うおっ!?」


『『………』』


 ピオンはサイの体を起こしてヴィヴィアン、ヒルデ、ローゼの三人にそう言うと、彼の股間に自分の顔を突っ込ませてそこにあるモノを口でくわえこんだ。そしてピオンが剥き出しの自分の尻を持ち上げてみせると、三人のホムンクルスの美女達が彼女の尻と股間をじっくりと、丁寧に舐め回す。


 どうやらピオンがサイに望んだ「ご褒美」、朝の情事はまだ続くようだ。

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