事件の真相
「ねぇ、サイ? そんな風に言われたら逆に気になるのだけど? ピオンの「私がどうかしましたか?」……!?」
クリスナーガがピオンの異能についてサイに聞こうとした丁度その時、当人であるピオンの声が聞こえてきた。そのあまりのタイミングの良さにクリスナーガだけでなくサイも思わず驚いた顔となり、二人揃って声がしてきた方を見る。
サイとクリスナーガの視線の先には、ピオンを初めとするサイに従うホムンクルスの女性達四人が部屋に入ってきていて、サイ達二人を不思議そうに見ていた。
「クリスナーガさん、私が何か?」
「い、いいえ。何でもないの……」
「そうだな。それであの少年について何か分かったか?」
ピオンの質問にクリスナーガは首を横に振り、サイが話題を変えようとグレドプテラの操縦士の少年についてきいた。部屋に帰ってきたということは、ローゼによる尋問も終わり、何らかの情報が手に入ったということだろう。
「ええ、色々と凄いことが分かりましたよ。ねぇ、ローゼ?」
サイに聞かれたピオンがそう答えてローゼを見ると、彼女は楽しそうな表情を浮かべて頷いた。
「はい。まずあのグレドプテラの操縦士の少年……彼はミスト王国の第四王子でした」
『『っ!?』』
ローゼの言葉にサイとクリスナーガは驚きで同時に息をのんだ。ゴーレムトルーパーに乗っていた以上、どこかの国の軍隊に所属していてかなり高い地位にいるだろうとは思っていたが、王族というのは少し意外であった。
ミスト王国とはアイゼン王国の北東に位置する王国である。そしてアイゼン王国とミスト王国「とある問題」から昔から仲が悪く、小さな小競り合いを繰り広げているとサイは記憶していた。
「それでミスト王国の王子様はどうしてこんな所に、ゴーレムトルーパーに乗ってやって来たんだ?」
「それなのですが……マスター様は私達がここへやって来た理由を覚えていらっしゃいますか?」
「ここに来た理由? そんなの決まって……まさか」
サイの質問にわざとらしく首を傾げて疑問で返すローゼ。サイは何故彼女が疑問に疑問で返したのかは分からなかったが、それでも答えようとしたところで何かに気づく。
サイ達、合同部隊がこのヴェルリ砦にやって来た理由は、暗黒領域のモンスターの活動が活発になった理由を調査して可能ならばそれを排除することである。それをローゼが今ここでそれを聞いてくるということは、理由は一つしか思い付かなかった。
ローゼはサイとクリスナーガの顔色が変わったのを見て、一つ頷くと口を開いた。
「はい。お二人のご想像の通りです。今回の事件はあのミスト王国の王子様とグレドプテラが原因です」
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