グレドプテラの操縦士

『お疲れ様です。サイさん。ピオンさん』


 グレドプテラが地面に墜落して動きを止めたのを確認してからサイ達がドランノーガを着陸させると、それまでサイ達の戦いを見守っていたブリジッタが話しかけてきた。するとブリジッタに続いてマリーとジェラードもサイ達が乗るドランノーガに近づいて話しかけてくる。


『本当にお疲れ様。ゴーレムトルーパー同士の空中戦だなんて、まだ信じられないわよ』


『まあ、確かにな。それにしても無茶苦茶するよな。アイツ、生きているのか?』


 そう言ってジェラードが見るのは少し離れた場所に墜落したグレドプテラだ。緑のゴーレムトルーパーは墜落してから動く様子もなく、地面に激突した時の衝撃は常人であれば間違いなく即死するものであるから、彼が疑問に思うのも無理はないだろう。


「まあ、向こうもゴーレムトルーパーの操縦士ですからね。死んではいないでしょう」


 ジェラードの疑問にあっさりと答えるピオン。確かにゴーレムトルーパーの操縦士はナノマシンで体を強化されているので、グレドプテラに載っている男も生きている可能性が高いはずだ。


「それの確認もするためにグレドプテラに接触するぞ。皆も一緒に来てくれて」


『『了解』』


 サイがグレドプテラに接触する事を提案すると、ザウレード、ヴォルダート、アルダニアンに乗る操縦士達は同時に返事をしてくれた。




「……で? 一体どうやって操縦士を引き摺り出すんだ?」


 グレドプテラの近くまで近づき、サイとピオンとジェラードが自分達のゴーレムトルーパーから降りると、ジェラードが緑のゴーレムトルーパーを見ながら仲間二人に訊ねた。


 グレドプテラは相変わらず動く気配がないが、中の操縦士が出てくる様子もない。単に気絶しているのか立てこもっているのかは分からないが、まさか破壊するワケにもいかず、このままだと操縦士を外に出すのは困難だろう。


 …… この場にサイがいなければ。


「そんなのは簡単ですよ、ジェラードさん」


「何?」


「マスター、お願いします」


「ああ、分かった」


 ピオンに言われてサイがグレドプテラに近づきその機体に触れると次の瞬間、緑のゴーレムトルーパーは消えて無くなり、それを見たジェラードは納得の表情となる。


「あー……。なるほどね。いつも思うが本当にサイの異能は便利って言うか反則だよな。それでグレドプテラの操縦士は……アイツか」


 ジェラードが周囲を見回すと、グレドプテラがあった場所に一人の男が倒れていた。どうやら立てこもっていたわけではなく、墜落の衝撃で気を失っていただけらしい。


「コイツがグレドプテラの操縦士?」


「おいおい、まだガキじゃねぇか?」


 サイ達が倒れているグレドプテラの操縦士に近づいてその顔を見ると、グレドプテラの操縦士はサイ達よりも歳下、十代前半くらいの少年であった。相手が少年であったことにサイとジェラードは驚くのだが、その横でピオンだけは納得の表情で頷いていた。


「戦っている時、どうも言っていることが子供っぽいと思っていたのですが、本当に子供だったのですね」

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