空中戦(5)

 爆発が起きたグレドプテラの左の翼には大きな穴が空いており、ほとんど竜の胴体からちぎれかけていた。そして爆発が起きたのと同時にドランノーガはグレドプテラから離れていて、地上へは緑のゴーレムトルーパーだけが落ちていった。


『何だよコレ!? 一体どうしてこうなったぁ!?』


「戦闘が始まってすぐに解析をした時、貴方のグレドプテラには損傷があるのが分かりました」


『っ!?』


 狂ったような叫び声を上げながら墜落していくグレドプテラにピオンが外部音声を使って話しかけると、緑のゴーレムトルーパーから息を飲む気配が伝わってきた。


「機体全体にまるで『高い所から落下したようなダメージ』の痕跡があり、左の翼は特にダメージが酷かったのか、明らかな損傷している箇所がありましたよ」


 ピオンの言葉に横で聞いていたサイも頷く。彼女に言われてグレドプテラの左の翼を見た時、装甲が剥がれている箇所を見つけて、そこにカロル・ディギトゥスを打ち込んだのだ。


『………!?』


 ピオンの言葉に思い当たる事があるのかグレドプテラが絶句する。


『あ、あの時……! あの時なのか?』


 思わず言葉を漏らすグレドプテラに乗る男の脳裏に浮かんだのは昨日の出来事。


 昨日、グレドプテラはヴェルリ砦の上空で、ドランノーガとヴェルリ砦を襲おうとするモンスターの大群との戦いを盗み見ていた。そしてその時にドランノーガが放った主砲の余波に吹き飛ばされ、グレドプテラはヴェルリ砦から離れた場所で上空から地面に激突したのだ。


 ナノマシンの自己修復能力で機体もある程度回復し飛行も問題なかったのでこうして戦いを挑んだのだが、その時のダメージがこの様な結果になるとは思わなかった。つまりグレドプテラは昨日の時点でドランノーガに負けていたのだと考えると、緑のゴーレムトルーパーに乗る男は再び怒りを覚えた。


『ドランノーガ! お前さえ……っ!?』


 グレドプテラに乗っている男が墜落していることも忘れ、ドランノーガに恨みの言葉を吐こうと上空を見上げた時、紺色のゴーレムトルーパーは緑のゴーレムトルーパーのすぐ近くまで接近していた。


「いい加減黙れよ、お前」


「そうですね。一方的に敵意を持って攻撃してきて、本当に迷惑です。……ドランノーガ!」


『………!』


 サイとピオンの指示に従いドランノーガは、脚部と尻尾にある噴出口から炎を吹き出して加速し、グレドプテラに突進をする。


『がっ……!?』


 墜落をしていて無防備な状態で重量級のドランノーガの突進をくらい、グレドプテラに乗る男はその衝撃で気を失い、緑のゴーレムトルーパーは地面に堕ちるのであった。

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