空襲

『くらえっ!』


 緑のゴーレムトルーパーは若い男の声で叫ぶと、下半身の竜の頭部を変形させた。頭部の装甲が全面に集まり槍のような形状になると、緑のゴーレムトルーパーはその槍の穂先をドランノーガに向けて貫こうとする。


「っ!? 当たるか!」


 しかしサイはドランノーガの下半身の竜の脚部にあるブースターから炎を噴出させ、とっさに横に飛ぶことで緑のゴーレムトルーパーの突進を避ける。


『はっ! よくその動きのトロそうなゴーレムトルーパーで避けれたな! 褒めてやるよ!』


(うるさいよ! ゴーレムトルーパーの基礎戦術の突進チャージくらい対策しているっての!)


「マスターのドランノーガを侮辱するとは許せませんね。……え?」


 自分の攻撃を避けられた緑のゴーレムトルーパーは上空に上昇しながら捨て台詞を吐く。それにサイが心の中で反論して、ピオンが緑のゴーレムトルーパーを睨み付けようとした時、彼女はドランノーガの上空に無数の光の玉のようなものが漂っているのに気づいた。


 無数の光の玉はゆっくりと地面に降りてきており、これらが何なのか観測したピオンは血相を変えてサイに向かって叫ぶ。


「これは高エネルギー反応!? マスター、急いで離れてください!」


「分かった!」


 ピオンの言葉にサイは再びドランノーガの下半身の竜の脚部にあるブースターから炎を噴出させてその場から離れる。そして光の玉は地面に落ちて接触した瞬間、大爆発を起こした。


『これは……!?』


『爆発しただと!?』


『どうやら、敵は、空爆を、得意と、している、みたいです』


 マリーとジェラードは予想もしなかった光景に驚きの声を上げ、ブリジッタと一緒にザウレードに搭乗しているカーラが冷静に緑のゴーレムトルーパーの戦いを分析する。


「ピオン、空爆って何だ?」


「空爆とは空から爆弾等を投下して敵や敵の施設を攻撃することです」


 カーラの言葉に聞き覚えのない単語があったサイがピオンに聞くと、彼女は主人の質問に答える。それを聞いて彼はウォーン砦で戦った蛇のモンスターを思い出す。


 ウォーン砦で戦った蛇のモンスターは可燃性の息を吐き、その直後に火の玉を放ち大爆発を起こしたのだ。


「ウォーン砦の時と一緒か……。厄介だな」


 ドランノーガも空を飛べるが、それでも飛行速度はあの緑のゴーレムトルーパーの方が上だ。空に飛んで攻撃をしても攻撃が当たるかどうか分からない。


 ウォーン砦で蛇のモンスターと戦った時は、ドランノーガのリミッターを解除する機獣開眼モードを使用したが、この場でも使うべきかとサイが考えていると横にいるピオンが話しかけてきた。


「マスター、ドランノーガを飛ばしてください」


「ピオン?」


「今、あの緑のゴーレムトルーパーを解析しました。大丈夫です。勝つ方法はあります」


 こちらへ顔を向けてくるサイにピオンは自信ありげに言うのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る