空からきた敵意
『あら? 何でしょうかあれは? 鳥にしては大きいような……?』
巨大な影に最初に気づいたのはブリジッタで、空を見上げながら言う彼女の言葉に反応してサイも空を見上げる。
「何だと? モンスターの襲撃か?」
『はぁっ!? モンスターが空を飛ぶのかよ!?』
サイの言葉にジェラードが信じられないといったふうに言うが、サイはそれに首を横に振って答える。
「暗黒領域のモンスターは飛ぶんだよ。一度戦ったことがある」
そう言ってサイが思い出すのは、ウォーン砦で戦った翼を生やした巨大な蛇の外見をしたモンスターだ。断言するサイにジェラードとマリーは自分達のゴーレムトルーパーの操縦室の中で表情をひきつらせる。
『マジかよ……?』
『本当に何でもありね、モンスターって……』
「……あら? この反応……あの影はモンスターではないみたいですよ?」
『『……………!?』』
それまで会話に参加せず巨大な影の観測していたピオンが言うと、その場にいる全員がピオンを、彼女が乗っているドランノーガを見た。
「モンスターじゃないって? それじゃあ、あの影は何なんだ?」
「この反応は……ゴーレムトルーパーです」
「何っ!?」
ピオンの方を見て聞いたサイは彼女の返事に再び空を見上げる。すると巨大な影はすでにサイ達にすぐ近くまで接近しており、その姿が確認できた。
突然空から現れてサイ達に接近してきた巨大な影は、ピオンが言った通りゴーレムトルーパーであった。
巨大な翼を持つ竜の背中に戦士の上半身が生えた外見をしている緑のゴーレムトルーパー。
それは今まで見たこともない形状のゴーレムトルーパーであったが、サイを初めとするこの場にいる全員は、初めて見るゴーレムトルーパーとは別の事に驚いていた。
『嘘だろ……? 見間違いじゃないよな?』
『信じられない光景だけど見間違いじゃないわ』
『空を……飛んでいる?』
ジェラード、マリー、ブリジッタが明らかに動揺した声で言うように、その緑のゴーレムトルーパーは空を飛んでいた。これにはドランノーガという空を飛ぶゴーレムトルーパーの前例を知っているブリジッタ、そして当のドランノーガに乗っているサイも驚きを禁じ得なかった。
「空を飛ぶゴーレムトルーパー? ……ドランノーガと同じ?」
『違う!』
空を飛ぶ緑のゴーレムトルーパーを見上げてサイが思わず呟くと、緑のゴーレムトルーパーから若い男の声が聞こえてきた。
『空を飛ぶゴーレムトルーパーはコイツだけだ! お前は! お前のドランノーガはここで潰す!』
緑のゴーレムトルーパーは強い敵意がこもった声で言うと、ドランノーガに向かって加速した。
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