暗黒領域での遭遇
サイ達がドランノーガによってヴェルリ砦に襲撃してきた芋虫のモンスターの大群を撃退した翌日。ドランノーガとザウレード、ヴォルダートとアルダニアンのゴーレムトルーパー四機は、モンスターの活動が活発になった原因を調べるべく暗黒領域に侵入していた。
『あー……。ヴィヴィアンちゃんにヒルデさん、ローゼさんはいないのか……残念だなー』
ドランノーガの隣を歩くヴォルダートから操縦士であるジェラードの残念そうな呟きが聞こえてきた。
今ジェラードが言った通り、ヴィヴィアンとヒルデにローゼの三人は、他の合同部隊の隊員達と一緒にヴェルリ砦に残っていた。これはまたヴェルリ砦に異変が起こった時に「通心」の力でピオンに連絡を出すためである。
『また貴方はそんなくだらない事を言って……』
『ま、まあまあ、マリーさん』
ジェラードの呟きにアルダニアンに乗るマリーとザウレードに乗るブリジッタがそう言うと、ジェラードは彼女達の態度にすぐさま反応した。
『くだらない事って何だよ、くだらない事って? とても大切な事だぞ。ヴィヴィアンちゃんもヒルデさんもローゼさんもあんなに見事な巨乳なんどから。巨乳の女性ご多ければ多いほどやる気も出るってものじゃないか。なぁ、サイ?』
「ああ、全くだな」
ジェラード……ではなく巨乳好きな馬鹿三号の言葉に、サイではなく巨乳好きな馬鹿一号が即答する。そんな馬鹿二人の発言にマリーは思わず頭が痛いとばかりにため息を吐いた。
『はぁ……。馬鹿言ってないで周囲の警戒を怠らないで。ここはもう暗黒領域なのよ? いつモンスターが襲いかかってきても不思議じゃないんだからね?』
マリーの言葉にサイは「確かに」と頷き、気持ちを引き締めると周囲を見回す。
前文明が衰退してから数百年、人の手が入っていない暗黒領域の森の中は、無数に生い茂っているの高い木々が太陽の光を遮り正に「暗黒」と言えた。今回ゴーレムトルーパー四体だけでここまで来たのは正しい判断だった。もし他の合同部隊の隊員も来ていれば確実に何人かははぐれていただろう。
暗黒領域に侵入してから今まで一度もモンスターと出会っていないが、周囲からは生き物が移動する物音が聞こえてくるし、サイ達のゴーレムトルーパーが木々を掻き分けて進む度に遠くからこちらを伺ってくる視線を感じていた。
「確実にいますよね、モンスター? それなのにここまで静かだと逆に不気味ですね」
「そうだな。こちらの様子を見て襲う機会を待っているのか?」
ドランノーガの操縦室で近くにモンスターがいることを確認したピオンが呟くと、サイがそれに頷き同意をする。普通のモンスターであればここですぐに襲いかかってくるのだが、どうやら暗黒領域のモンスターは力だけでなく、その行動までもが今まで見てきたモンスターとは少し違うらしい。
『とにかくもう少し進んでみましょう。それで何もなかったら今日のところは一度ヴェルリ砦に戻……!?』
マリーがもう少し先に進むことを提案しようとしたその時、サイ達の上空に巨大な影が現れた。
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