マリー参戦
「……ブリジッタ様。お気をつけください」
ミッシェルが勝負をつけることを決めた時、ザウレードの操縦室でカーラがブリジッタに話しかける。
「カーラ? どうしたの?」
「あの、二体の、ゴーレムトルーパーの、一体……。いきなり、重心が安定して、こちらを、待ち構える、体勢に、なりました。もう、簡単には、攻撃できません」
戦闘用ホムンクルスであるカーラは、ゴーレムトルーパーの僅かな仕種だけでミッシェルの心境の変化を察したらしく、いつ攻撃が来ても対応できるよう敵を見ながらブリジッタに声をかける。
「このまま、マリー様か、サイ様の所へ、下がりませんか?」
ブリジッタの身の安全を護ることを最優先とするカーラは、一旦引いてマリーかサイに合流することを提案するのだが、ブリジッタは首を横に振って否定する。
「いいえ。私達の役目は彼らをここに足止めして戦いを有利にすすめること。ここで引いては意味がありません」
「しかし……っ!?」
ミッシェル達のゴーレムトルーパー二体を見ながら言うブリジッタに、カーラが反論をしようとしたその時、ミッシェルが乗るゴーレムトルーパーが行動を起こした。ミッシェルが乗るゴーレムトルーパーは先程までとは違い、ドランノーガの砲撃で砕かれて不安定となった足場をものともせずに走り、ザウレードに向かってきたのだ。
「速い!?」
「動きが、違う……!」
急に動きが変わったミッシェルのゴーレムトルーパーに、ブリジッタとカーラは驚きで目を見開く。
かつて不安定となった足場が原因でザウレードを逃がしてしまった経験があるミッシェルは、今日まで自分のゴーレムトルーパーの弱点である不安定な足場での走行訓練を行っていた。先程まではマリーの作戦により心の隙を突かれていいようにされていたが、慢心を捨てて冷静となった今ならば、荒れた足場でも平地と同じ速度で走らせることは充分可能であった。
ブリジッタとカーラが驚いている間にミッシェルのゴーレムトルーパーは、ザウレードに上半身の騎士が持つ槍を向けて突撃しようとしていた。
「避け……間に合わない!」
「いえ。避ける、必要は、ありません」
「え?」
カーラがブリジッタに向けて言った瞬間、ザウレードとミッシェルのゴーレムトルーパーの間を銀色の影が駆け抜けた。それによって攻撃の機を逃したミッシェルのゴーレムトルーパーは突撃を止めて、ザウレードから距離をとった。
「あれは……マリーさん?」
ザウレードの前を横切り、自分達を助けてくれた銀色の影はマリーが乗る銀色の機体のゴーレムトルーパーであった。
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