新しい仲間

「クソッ! クソッ! 何でコイツサイだけが……! 神はこの世にいない。きっと大昔にモンスターに喰われてしまったんだ。ううっ……」


「……」


 一度感情を表に出してしまうともう止まらず、恥も外聞も忘れてサイへの恨み言を泣きながら口にするジェラードにマリーはいよいよ引いた表情となる。ちなみにこの時彼女は自分の胸を両腕で庇うように隠して後ずさるのだが、これは仕方がないだろう。


 するとジェラードから距離をとったマリーと入れ替わるように、ピオンを初めとする四人のホムンクルスの女性達がジェラードに近づき、ピオンが代表するように彼に話しかける。


「ジェラード様。そんなに怖い顔をしないでください」


「……え?」


 ピオンに優しく声をかけられたジェラードが泣くのを止めて彼女の方を見ると、四人のホムンクルスの女性達は柔らかな笑顔を浮かべて彼に近づいていく。


「どうやらジェラード様はマスターに対して何か誤解しているみたいですね」


「ですがジェラード様もマスター殿も、同じモンスターと戦い人々を守るゴーレムトルーパーの操縦士です」


「愛しのマスターは同じ立場にあるジェラード様と友好な関係を築きたいと思っています」


「そしてそれは私達も同じでございます」


 ピオン、ヴィヴィアン、ヒルデ、ローゼの順番で話しかけながら四人のホムンクルスの女性達はジェラードに近づいていき、最終的に四人は自分達の豊かな巨乳の先端が彼の身体に触れるか否かというぐらいの至近距離まで接近していた。


「……………!?」


 ジェラードは手を伸ばせば、いや、少し体を動かすだけで触れられるくらい近づいたピオン達の巨乳を見て絶句する。そして彼は目の前の光景をしばらく見た後、無言でサイの元まで歩み寄ると……。


「さっきはすまなかったね、サイ・リューラン君? 少し気が立っていて失礼なことを言ってしまったね。改めて自己紹介を。アイゼン王国から来たゴーレムトルーパーの操縦士、ジェラード・バウトだ。ジェラードと呼んでくれ。これからもよろしく」


 と、輝くような爽やかな笑顔で改めて挨拶をして握手をしようと右手をサイへ差し出すジェラード。


 このゴーレムトルーパーの操縦士、ピオン達の色仕掛けに秒で陥落。サイとビークポッドに続く巨乳好きな馬鹿三号誕生の瞬間である。


「こちらこそもよろしく」


 サイは椅子から立ち上がると差し出されたジェラードの右手を握って握手をする。その様子を離れていたところから見ていたマリーは、呆れたよう顔となって口を開く。


「まったく……。この二人が私の同僚になるなんて頭が痛いわ……」


「じゃあやっぱり貴女達がそうなのね?」


 マリーの呟きを聞いたクリスナーガが聞くと、マリーは頷いて答える。


「ええ、そうよ。私とそこにいるジェラードさんが合同部隊に参加するゴーレムトルーパーの操縦士よ。それでフランメ王国から参加する操縦士は貴方でいいのよね、サイさん?」


「そうだ。これからよろしく、マリーさん」


 事前に自分も合同部隊に参加することを聞かされていたサイは、マリーの質問に答えると新しい仲間になる彼女に挨拶をした。

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