昼休みの一時
サーシャ。ラン。アミーナ。カレン。
それぞれ所属する兵科が違うのに半月程前から常に一緒に行動するようになった四人は、今では士官学校で有名な集団となっていた。
なにしろ全員が整った容姿をしている上に、四人の内二人がゴーレムトルーパーの操縦士の妹と姪、そして一人が他国からの留学生なのだから注目を集めるのも仕方がないだろう。
ただ実技の成績が最低レベルで誰も知らないような辺境出身ということになっているランに関しては、他の三人と釣り合っていないと思う者や、サーシャに取り入るつもりだったのに先を越されたと逆恨みの感情を抱く者が少なからずいた。しかしそんな者達はサーシャとアミーナを通じてサイやアースレイの不興を買うのを恐れて、ランに手を出すことはなかった。
この四人で行動するようになってからは、自分に取り入ろうと声をかけてくる生徒も現れなくなっており、サーシャはこの半月間それなり快適な学生生活を送れていた。
「へー……。宇宙にはー、ゴーレムトルーパーがないんだー?」
昼休み。サーシャ達は今ではすっかり自分達のたまり場と化した来客室で昼食をとった後、ランから宇宙の話を聞いていた。
きっかけはサーシャはふと思ったことをランに聞いたことで、サーシャ本人も答えてくれるとは思っていなかったのだがランはあっさりと答えてくれたのだった。何故今まで宇宙の話をしなかった彼女が急に話してくれるようになったかは分からないが、それでもサーシャ達三人はランの話に興味を持って聞くことにした。
「ゴーレムトルーパーがないというのは少し考えられませんね……。国の力を象徴する存在ですから」
「そうですね。ゴーレムトルーパーがないってことはモンスターもいないのですか?」
アミーナの言葉に同意したカレンが聞くとランがそれに頷いて答える。
「ええ、いないわ。宇宙は地上との関わりを絶つことでモンスターと、かつて地上に蔓延していたウイルスから逃れることを選んだの。それが今まで私達が地上にやって来なかった理由なの」
ランの言葉にサーシャ、ラン、カレンの三人が感心したような表情となる。
「ああー、なるほどー」
「地上の前文明が滅んだ理由はモンスターだけじゃなくてウィルスもあったのですか……。それなら納得できますね」
「モンスターに襲われる心配がないというのは羨ましいです。きっとランさんが来た宇宙というのはいい所なのですね」
サーシャ達三人は口々に感想を言うのだが、ランはカレンの言葉に表情を曇らせる。
「いい所か……。宇宙は確かにモンスターも現れないし、食料等の配給とかもあるから死ぬような危険はないよ。でも住む人の階級による生活の差は地上以上に明確でね……。私自身、ここに来るまで自覚はなかったんだけど、向こうの生活はかなり……窮屈だったかな?」
「ランー? それってどういうー……え?」
サーシャがランに詳しい話を聞こうとしたその時、来客室の外から大砲のような音が聞こえてきた。
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