ヴァイヴァーン参戦
「まさか……ドランノーガの攻撃が効かないなんて……」
「これは……地味にショックですね」
ドランノーガの武装二つの直撃を受けても亀のモンスターは大したダメージを負っていないという事実に、サイは思わず呟いてピオンはひきつった笑みを浮かべる。
破壊力だけで言えばドランノーガの武装は、現存しているゴーレムトルーパーで最強と言っても過言ではない。サイ達も自分達のゴーレムトルーパーの火力を信じていたからこそこの結果には動揺を禁じ得なかった。
『っ! マスター殿、あれを!』
動揺していたサイに亀のモンスターを監視していたヴィヴィアンが話しかける。亀のモンスターの方を見ると、先程ドランノーガの攻撃を受けてヒビが入った甲羅の一部分から水蒸気みたいな煙が出ており、ヒビが修復されていく。
「……モンスターの異常なまでの生命力は知っていますがここでこれは厄介ですね。それに加えてあの巨体に甲羅の硬さ、棘の飛び道具に驚異的なジャンプ……。マスター、知っていますか? 前文明ではあのような何でもありな相手を『ち~と』と呼んでいたそうですよ?」
「そうか。一つ賢くなったよ」
ピオンは亀のモンスターの甲羅が修復されるのを見て言い、それにサイは半ば投げやりに返事をするが「何でもありな相手」という部分には同意だった。
「でもそんな『ち~と』な相手にどう戦えばいいんだ?」
サイは亀のモンスターを見たままどの様に戦えばいいか必死に考える。
一応まだ試していない手は二つ程ある。
ドランノーガの主砲と言える武装カロル・マーグヌム・コルヌと、機体のリミッターを解除して一時的に凶悪なまでの戦闘能力を得る機獣開眼モード。
これらを使えばあの亀のモンスターにも通用するかもしれないが、今はこれらを使うことはできなかった。カロル・マーグヌム・コルヌも機獣開眼モードも周囲に出す被害が尋常ではなく、使えば砲兵隊や補給部隊を巻き添えにしてしまうからだ。
亀のモンスターが現れた時点で砲兵隊も補給部隊も、装備も全て捨てて撤退を始めていた。だがそれでも全力を出したドランノーガの攻撃の余波に巻き込まれる範囲からはまだ抜け出せていないでいる。
「攻撃はあまり効いていませんけど、目眩ましにはなっています。ここは時間を稼ぐしかないと思います」
『いや、アイツは私が相手をする』
ピオンも全力を出して戦うには、まず砲兵隊と補給部隊を逃がすべきだと考えて、今は時間稼ぎするべきだとサイに進言する。すると猪に似たモンスターと戦っていたはずのビアンカの乗るヴァイヴァーンが、ドランノーガの横にやって来た。
「ビアンカ様? あの、猪のモンスターは?」
『それなら全て退治したさ』
ピオンの言葉にビアンカは何でもないように答え、サイが小画面の中にいるヴィヴィアン達を見ると、猪似たモンスターの反応が無いことを確認した三人のホムンクルスの女性達が頷く。
『まあ見ていろ。勝算はある』
ビアンカはサイ達にそう言うとヴァイヴァーンを亀のモンスターに向けて進ませた。
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