叔父と姪のお話
むかしむかしあるところに仕事で疲れた会社員の叔父と勉強に疲れた高校生の姪がいました。帰り道にたまたま出会った二人は電車が来るまで駅のホームのベンチで待っています。
「「はぁ~。」」
二人同時にため息を吐きました。
「どうした?ため息なんてついて。」
「叔父さんだって、ため息ついてたじゃん。」
少し間を空けて、姪が言います。
「ほら、私、今年は受験生じゃん?それで、この前、模試があったんだけど、志望校の判定が悪くってさ。」
姪はごそごそと鞄を漁り、模試の結果がまとめられた紙を叔父に渡します。
叔父はそれを見て答えます。
「あぁ~。でも、あんまり引きずるなよ。いつまでも落ち込んでる方が良くないからなー。」
それを聞いた姪はなんだか納得しない表情です。
叔父は続けます。
「なんて言う叔父さんは今朝、部長に怒られて『切り替え、切り替え。』って午後から元気に働いてたんだけど、『反省の色が見られない。』とか言ってまた怒られた。」
姪は笑って言います。
「はは、それは可哀想。」
「結局、周りがとやかく言ってもな、失敗してからどうするかは自分次第だから。」
そう言って叔父は持っていた模試の紙を姪に返しました。
受け取った姪が言います。
「そうだ、叔父さん、ここの駅中に有名なスイーツがあるの知ってる?」
突然の話題に叔父は首をかしげて答えます。
「なにそれ?」
姪は予想通りの答えにわざとらしく言います。
「でも、高校生のお財布にはちょっとお高いんだよねー。」
姪の目論見が分かった叔父は立ち上がり言います。
「それじゃあ、叔父さんが奢ってやろう。」
「やったー。」
姪は大袈裟に喜んで見せます。
「その代わりに、帰ったら勉強するんだぞ。」
叔父は言いました。
そんな親のような小言を言う叔父に姪は言い返します。
「あれれ?失敗してからどうするかは自分次第なんじゃなかったの?」
それを聞いた叔父は黙ってしまいましたとさ。
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